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9月20日のまにら新聞から

大統領は削減せず

[ 698字|2004.9.20|社会 (society)|新聞論調 ]

公社幹部の高給

 アロヨ政権にいて損はない。公社や政府系企業幹部になれば何百万ペソもの年収を得ることができ、別の公社に移る際には退職金も手に入る。国民の八割がヌードルとイワシの缶詰で何とか暮らしているというのに、「公社などは給料標準化法の対象外で高給は合法」と擁護してくれる。

 予算管理省によると、幹部の中で最高額を受け取っていたのは宝くじを運営するフィリピン慈善くじ協会のデレオン前会長。百万ペソ近い月給を得ていた。だが、他の幹部らの報酬も実際はそんなに差はないはず。自身の裁量で何とでもできる予算があるからだ。

 閣僚も決して餓死者リストには載らない。カマチョ前財務長官とペレス元司法長官は、公式な給与と手当だけで年収二百万ペソを超えていた。

 アロヨ大統領が財政危機を訴える中、公社や政府系企業幹部の収入が公表された。しかし、大統領は幹部の高給を黙認するつもりであったことが分かった。そもそもこの問題は、議員の裁量で使える優先開発補助金(通称ポークバレル)の削減を政府に迫られた議会が持ち出さなければ、明るみになることはなかっただろう。

 公社などが「食い物」にされなければ、何十億ペソもが国庫に節約される。しかし、大統領が自分の選挙資金に流用するなどして政府予算を自身の「ポークバレル」としているのに、幹部らが自主的に給与を減らすわけがない。

 大統領は海外旅行に何百万ペソも使い、自身の裁量予算は削減を拒否しながら、昼に弁当を食べ、会合では軽食を出さず「経費節減」を国民にアピールしている。彼女は国民が税制改革による増税や物価上昇を黙って受け入れるとでも思っているのだろうか。(16日・トリビューン)

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