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7月19日のまにら新聞から

冒険主義の代償

[ 658字|2004.7.19|社会 (society)|新聞論調 ]

イラク撤退問題

 デラクルスさんをイラク武装勢力から救うため、フィリピン政府が派遣部隊撤退を決めたことは極端すぎるという声がある。しかしフセイン政権がテロリストと結託し大量破壊兵器を保有しているという米国の主張にはほとんど根拠がなく、比は米国に忠誠を誓い過ぎた。その誤った主張がイラクを誘拐、脅迫、爆弾、打ち首の国にしてしまった。

 米国では、ブッシュ大統領の再選が危うくなりつつある。今年三月、米国の同盟国スペインは、マドリードの爆弾テロで保守政権が崩壊した。爆弾テロ直後、社会労働党が権力を握り、新政権は即座に部隊を撤退させた。

 フィリピンのケースもスペインに似ている。武装勢力がデラクルスさんを処刑すれば、アロヨ大統領の政権基盤は危うくなる。スペイン新政権と同様、大統領は撤退を急いだ。スペインとの違いは犠牲者が出る前に決断したことだ。

 大統領の撤退決定を非難すべきではない。イラク戦争と占領の合理性をきちんと検証しなければ、同盟国はその立場を失い、弱い立場に追い込まれる。

 同盟国の立場が不利になるにつれ、戦争を批判する者、武装勢力、テロリストは流れに乗り、イラク駐留部隊の即時撤退を求めてくるだろう。

 米国の正当性が揺らぐにつれ、比のような同盟国の立場も揺らいでくる。イラク占領が長引けば長引くほど、侵攻の理由が根拠を失い理解されなくなってくる。それは同時に、武装勢力の攻撃を誘うようになる。なぜなら、イラク侵攻の合理的根拠はずっと以前から、現実によって「打ち首」にされているのだから。(16日・インクワイアラー)

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