テロリストは休まず
連携活動活発化
国中が政治に関心を集めている間、問題児たちは自分たちの力を結集して新しいメンバーを訓練し、活動資金を集めている。選挙キャンペーンたけなわのころ、事態を憂慮した外国政府の情報提供で大統領府は再びテロ対策キャンペーンを強化した。関係者の相次ぐ逮捕を通じアロヨ大統領はマドリッドの列車爆破事件並みのテロ事件を未遂に終わらせたとの声明を出した。
しかし大統領はその後、すぐさま選挙キャンペーンに戻り、テロ対策を治安担当者の手に委ねた。国民が政治にうつつを抜かしている間に、テロリストたちはすっかり息を吹き返している。警察の情報筋によると、アブサヤフのリーダー、カダフィ・ジャンジャラニはジェマ・イスラミヤと連携し、三月にサンボアンガ市で、選挙後に都市部でテロ活動を行うための新グループ「アーバン・デス・スクワッド・サビラー」を結成した。
ジャンジャラニは、アブ・サバヤなど主要な部下を失いながらもミンダナオ島に潜み、再起を図ってきた。米国情報当局はこのテロリスト集団が勢力を再拡大していることを指摘している。東南アジアを舞台にネットワークを築いているジェマ・イスラミヤはイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線との連携も疑われるなどフィリピン南部での活動を強めている。
今回のアブサヤフとジェマ・イスラミヤの連携は、両者ともに極端な暴力志向を持つことを考えると驚くにあたらない。彼らの示している脅威は現実的なものである。今、問題なのは、政治的な政権転覆に関する情報に振り回されている治安担当者たちが、この急を要するテロリストの脅威にどれだけ関心を寄せることができるのかということである。(26日・スター)