「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
29度-24度
両替レート
1万円=P3,700
$100=P5825

4月5日のまにら新聞から

大統領が選挙に利用

[ 670字|2004.4.5|社会 (society)|新聞論調 ]

テロリストの逮捕

 政府はスペインの列車爆破並みの大規模爆弾テロを首都圏で計画していたとして、イスラム過激派、アブサヤフのメンバー四人を逮捕したと発表した。しかし、彼らがテロリストであるという政府の主張をうのみにする者は誰もいないだろう。

 第一、逮捕から一週間たつのに、ひとりの容疑者も公開されていない。また、軽量高架鉄道(LRT)やショッピングモールの爆破を計画していたという何の証拠も提示されていない。治安当局が押収したとするTNT火薬八十キロ︱︱八十ポンドかもしれない︱︱さえ、公開されていないのだ。

 容疑者を非公開としている理由について治安当局者は「捜査を継続中だから」と説明している。ならばなぜ、容疑者の氏名を公開したのか。

 尋問に当たっている捜査官によると、容疑者の口は堅く、一日中尋問しても、せいぜいひと言話す程度という。事情聴取は難航している。

 だとしてもなぜ、国軍が容疑者を拘束しているのか。彼らに米国人観光客殺害やサンボアンガ市での米兵爆破事件に関与した嫌疑が掛けられているせいなのか。

 殴ったり、電気ショックを加えたりの拷問を一週間続けたり、「自白促進剤」を注射すれば、彼らが犯行を自供することは容易に想像がつく。国民的英雄、ホセ・リサールを暗殺したと言い出しても不思議ではないのだ。

 こんなでたらめな話に付き合わされる理由はひとつしかない。アロヨ大統領は、この事件のおかげでCNNやBBCなどの海外有力メディアに登場し、選挙戦に利用した。もちろん、大統領はこれらのメディアに「続報がない」とは告げていない。(4日・マラヤ)

新聞論調