国軍改革は終わりか
前国防長官らの復権
七月二十七日に起きた国軍反乱事件で、若手将校らに爆弾テロ工作などへの関与を糾弾されたレイエス前国防長官と国軍情報部のコルプス前部長。二人は「女王(アロヨ大統領)を救うために」と職を辞し、そして一︱二カ月の間に政府、国軍の要職に返り咲いた。
国軍の最高司令官の大統領は言うまでもなく政府、国軍の人事権を掌握している。要職復帰は、大統領の信任の厚さを反映しているのだが、国軍不安定化の責任を負う形で二人が辞職に追い込まれたことを忘れてはならない。二人の復権が「国軍は(事件前の)元の状態に戻った」との印象を国民に与えかねないからだ。
反乱は改革の手段であってはならず、反乱将兵には法の裁きと適正な処罰を受けさせなければならない。しかしながら、世論調査の結果が示している通り、少なからぬ国民が軍内の不正や前線兵士の不満を訴えた反乱軍の主張に共感していることもまた事実だ。
大統領はレイエス前国防長官の辞任直後から一カ月足らず国防長官を兼任した。この間、汚職を生む要因や組織上の欠陥に気付き、対策へつながるアイデアを得たことだろう。これら得難い経験を改革に生かし、不正・汚職を最小化するよう努力を続けてもらいたい。
わが国の国防は、不正のしわ寄せをかぶり、上層部から無視されてきた前線兵士を基礎に成り立っており、非常に危うい状態にあると言わざるを得ない。国家安全保障上の全責任を負う大統領とエルミタ新国防長官の課題は、国軍改革を休むことなく推し進め、国防の最前線を強化することにほかならない。(2日・スター)