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6月2日のまにら新聞から

「直言」の封じ込め

[ 726字|2003.6.2|社会 (society)|新聞論調 ]

日本大使の発言問題

 高野幸二郎日本大使が今回、外国人特派員協会所属の記者団の前で        語ったことは、これまでに他の外交官や外国人投資家たちが発言したことと何ら違いはない。それなのになぜ、アロヨ大統領を含む政権幹部たちは日本大使の「直言」にそれほど腹を立てるのだろうか。

 大統領は、高野氏の言葉を「フィリピンの状況について公正さ、適切性に欠けている」として外務省で事情聴取まで受けさせた。彼は、フィリピンは安全な場所ではなく治安状況が悪化していると発言した。また、アロヨ政権の政策が日本や他の国の投資家にとって「混乱し、困惑させる」と指摘した。マニラ国際空港ターミナル事業の契約破棄に見られる比政府の対応を受けて、今後、重大な影響が予測されると述べただけなのだ。

 今回の日本大使の発言は、自国民のフィリピン旅行者や滞在者に対し、マニラや地方都市でテロ活動があるとの「信頼できる筋の情報」に基づき、否定的な安全情報を出している外国政府や外国人投資家たちの言っていることと何ら変わりはない。外国人や中国系フィリピン人を標的にした身代金目当ての誘拐事件は事実発生しているのだ。

 日本人投資家たちも、商工会議所を通じて数カ月前からアロヨ政権の政策の混乱ぶりを指摘している。欧州商工会議所も比政府の契約を尊重しない慣例に対しとりわけ不満を表明している。リシャドニ米国大使は数カ月前に、マニラの記者団を前にして日本人投資家と全く同じ意見を述べた。彼はもっと直接的に政府や司法機関における汚職を指摘してもいる。

 皮肉なことにリシャドニ大使は日本大使のように外務省に召喚されることはなかった。アロヨ大統領は日本の「親衛隊員」ではないからだ。(1日・トリビューン)

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