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6月2日のまにら新聞から

自分の考えで和平達成を

[ 726字|2003.6.2|社会 (society)|新聞論調 ]

MILFの休戦宣言

 イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)が今月二日から十日間の休戦を宣言したが、これは驚くに当たらない。国内のカトリック司教や他の平和推進グループなどが政府やイスラムゲリラに和平交渉を呼び掛けてきたことが圧力になったことは否めないだろう。 

 国軍の攻撃がイスラムゲリラを休戦に追い込んだという見方もあるが、これは誇張にすぎない。国軍の攻勢で、二百人の死者を出し、三十五万人が避難民となったが、ほとんどは一般市民たちで、これは一時的な軍事作戦の成功に過ぎない。

 実は、休戦宣言に対する本当の圧力は別の所から出ていたのだ。まず、アロヨ大統領の訪米で得た米国政府の軍事的・経済的支援が挙げられる。今回の支援ではヘリコプター三十機を含む様々な武器や軍事訓練支援と、ミンダナオ島の和平プロセスに関連する総額三千万ドルの経済プロジェクト支援が結ばれた。MILFは今後、より近代武装し訓練された国軍兵士と戦い、経済支援を享受できるイスラム市民からは反発を受けることが予想されるのだ。

 また、MILFは、イスラム諸国会議機構(OIC)が最近、オプレ外務長官をオブザーバーとして会合に公式招待したことで大きなダメージを受けた。これはダバオやコロナダル市での爆弾テロ事件や国際テロ集団、ジェマ・イスラミヤとの関与を指摘されているMILFに対しOIC側が不快感を示したと受け止められるからだ。

 国軍幹部らは休戦宣言がゲリラ再編に向けた時間稼ぎに過ぎないとの見方を表明している。しかし、三百人ほどのアブサヤフゲリラの掃討も出来ない国軍の実態もある。大統領は周囲の声ではなく自分の考えに従って和平達成に向け判断を下すべきだ。 (5月30日・インクワイアラー)

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