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1月13日のまにら新聞から

政治刷新は期待できず

[ 723字|2003.1.13|社会 (society)|新聞論調 ]

新司法長官の指名

 アロヨ大統領が次期大統領選への不出馬を表明後、新しい政治の始まりを期待していた国民は大統領の新司法長官指名に落胆しているに違いない。大統領は新顔ではなく現在の閣僚メンバーから新長官を指名、大統領が過去と決別して新しい方向に進む気がなく、「快適な場所」に居続けるつもりであることが明らかになった。司法の質とスピードに耐えきれなくなっている国民にとっても、ダトゥマノン公共事業道路長官の指名はがっかりだろう。

 大統領府は指名の理由に同長官の弁護士、議員、公共事業道路長官としての実績、出身地であるミンダナオ島開発の重要性を挙げた。同長官が同島出身であることは事実だ。しかし、司法長官への就任が、出身地の開発により貢献できるとの考えには疑問符を付けざるを得ない。公共事業長官であれば、インフラ未整備が課題となっている同島に予算を重点配分することができたはずだ。

 同長官が、一九五九年の司法試験に十二位で合格したことは誇ってよい。しかし、弁護士として同長官の実績を示す記録はほとんどない。州知事を二度、下院議員を数期務めており、政治家としては「抜け目がない」と評されるのかもしれないが、同様に際立った実績はみられない。公共事業長官には就任してから約二年がたつが、同省から出てきた大きな話といえば車両修理費の不正請求疑惑。発覚後約一年がたつというのに、まだ調査が終了していないときている。

 一つの疑惑調査にこんなに時間をかけているようでは、同長官が司法の迅速化を実現することをどうして期待できようか。この重要人事がアロヨ政権の実像を示しているとしたら、大統領の残る任期期間中、政治刷新を期待することは難しいかもしれない。 (8日・インクワイアラー)

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