「空っぽ」の空軍備
相次ぐ墜落事故
国軍機の墜落事故が相次いでいる。発表によると、空軍所属の攻撃ヘリコプター「MG︱520」が五日、飛行中にエンジントラブルに見舞われ、ダバオ市の海岸に緊急着陸した。この数時間前にはサンボアンガ市南方の海上で密輸船を追跡していた空軍の偵察・爆撃機「SF︱260」が墜落している。両機には合わせて乗務員四人が乗っていたが、幸いなことに全員無事脱出した。
今年の空軍機の墜落はこれで五回を数えた。一月にはルソン島中部ヌエバエシハ州でジェット戦闘機が墜落し住民ら七人が死亡。四月下旬には攻撃ヘリコプターがクラーク基地で着陸に失敗し乗員二人が負傷した。五月にもパンパンガ州で小学校に戦闘機が墜落し教諭一人を含む十九人が重軽傷を負っている。
空軍の装備老朽化は深刻で、多くの飛行機が適切な整備と優れた操縦技術がなければ飛べる状態ではないといわれている。故障を多発させる旧式の訓練機「S︱211」にいたっては、空軍内で「未亡人製造機」と恐れられているという。また、時代遅れの飛行機の整備には大変なコストがかかる。
近隣諸国と比較しても、フィリピン空軍は装備の貧弱さで有名である。冗談交じりに「空(から)っぽで、軍備はない」と言われる有様だ。
財政赤字に苦しむ政府にとって、優先すべきは住宅、教育問題や飲料水設備であるというのは理解できる。だが、戦時下で制空権を確保する空軍は最も重要な戦力である。また、飛行機やヘリコプターはただの兵器ではない。災害発生時の救助活動や密輸、密航防止のパトロールにも活用できる。長い海岸線を持つフィリピンでは必須だ。政府は何らかの手を打つべきではないだろうか。(8日・スター社説)