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9月9日のまにら新聞から

貧しき政治の悲劇

[ 693字|2002.9.9|政治 (politics)|新聞論調 ]

馬の違法滞在者問題

 自然災害や銃撃戦など幾多の修羅場を報道してきたテレビアナウンサーさえ悲惨さに言葉を失ったという。マレーシアの過酷な収容所から送還されてきたフィリピン人退去者の大群を前にしての話だ。「ボートピープル」たちの現実を目の当たりにし、我が目を疑ったアナウンサーとカメラマンたちはひたすら彼らの姿を映し続けた。

 この未編集のテレビ用映像を見たABS︱CBN放送(チャンネル2)のジーナ・ロペス代表は直ちに国家災害対策委員会に連絡、支援物資を空輸しようとした。しかし、チャーター機を使えるのは五日後という答えが返ってきた。彼女は、衰弱し尽くした子どもや女性たち、脱水症状に苦しむ若者らに「生きながらえて」と祈るような気持ちだったという。

 「我々のボートピープル」の悲劇は、経済を破たんさせ、プライドを失った貧しい政治の結果である。また、悲惨さに対する感覚をまひさせてしまった国民の悲劇でもある。母親の腕の中で死んでゆく赤ん坊、もはや家もなく異邦人として生活するしかないかつての祖国に、ぎゅうぎゅう詰めにされて輸送される人々。映像が直視に耐える内容でないため、放映は自粛されている。

 一方、女性国会議員たちは、テレビの娯楽番組でセクシーダンスを踊る娘たちや、ビキニ姿で洗車する娘たちを専ら問題にしている。女性たちが性を搾取されているのだという。しかし、搾取されているとはいえ、この娘たちより緊急な助けを要する人たちがいるのではないか。

 女性議員も、緊急な支援を必要としている避難民に対して、持ちうる限りの人材を支援活動へと組織すべきだと思う。(4日・スタンダード、ジュリー・ヤップ・ダザ氏)

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