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7月15日のまにら新聞から

力ずくの犯罪対策

[ 693字|2002.7.15|社会 (society)|新聞論調 ]

ダバオ市長の顧問就任

 このほど開かれた麻薬・誘拐対策サミットでの席上、ミンダナオ島ダバオ市のドゥテルテ市長は友達に囲まれているような気分だったに違いない。市長は異端視されている犯罪対策の持論を堂々と語った。

 アロヨ大統領の犯罪対策顧問になった市長が犯罪シンジケートに対し、「この国の悪事を独占できるものではないと認識しろ」と警告したのは劇的だった。身代金誘拐事件の危機的状況の矢面に立たされている中国系フィリピン人実業家は市長の力ずくなやり方を歓迎、大統領も「すごい」と女子学生のような態度を取っていた。

 しかし、理解し難いのは大統領が「ドゥテルテ流の執行方法」を支持しているようにみえることだ。経済学者である大統領は腕力による短期的な方策ではなく、法律の着実な適用こそが長期的な成果につながることを認識しなければならない。

 大統領が、犯罪者退治で暗躍している「ダバオ処刑団」の背後にいるとされる乱暴な市長を擁護することは、厳密には政治においてのみ意味をなすだろう。エストラダ前大統領の支持者の犯罪対策や、二〇〇四年の次期大統領選の出馬が有力視されているラクソン上院議員を出し抜くために市長の協力を求めているようにみえる。

 政府には国民に恐怖心を抱かせている誘拐事件の撲滅や麻薬使用のまん延を阻止するという緊急の任務がある。しかし、それは市長の助けがなくても可能だ。

 大統領は市長に訓戒を垂れねばならない。人の命が危険にさらされる時、政府は力ずくの権力行使を控えるべきだ。なぜならそれも誤りとなるからである。市長の顧問就任は新たな犠牲を求めることにならないだろうか。(12日・インクワイアラー)

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