火災から人命を守れ
防火月間を迎えて
ケソン市にあったオゾン・ディスコで火災が発生し、百七十人近い犠牲者を出したのは六年前の三月だった。火災史上最悪となったオゾン・ディスコ事件の六周忌はまだ来ていないが、三月が防火月間であることは、国民が必ず記憶にとどめるべきことである。
この事件以降、消防署を含む行政は、防火安全基準が順守されているかの検査を本格的に開始したが、安全基準が十分に守られているとは言い難い。その二年後にはマニラ市の孤児院の老朽化した木造建築物で火災が発生、二十人以上の子供らが死亡した。漏電が原因だった。そして、昨年にはケソン市のホテルで火災が発生、逃げ場を失った七十四人が窒息死している。
防火安全基準の順守だけが問題なのではない。国内の消防体制の貧弱さも見落としてはならない。今週出された報告書によると、国内の一千七百町のうち、消防車もしくは消防施設を持たない自治体が九百四十もあるという。
しかし、この数字は地方にとって大した問題ではないという。なぜなら地方の農村部ではあまり火災事件が起きていないからだ。問題となる火災は都市部で起きる。昨年発生した火災事件は七千四百十三件。死者は二百九人出たが、その多くはマニラ首都圏で発生している。
マニラでさえ、消防車と消防施設は不足している。住民はおろか消防隊員たちさえも火災が発生すれば、独自のボランティア消防団と消防車を有している中国系のグループに頼っているのが現状だ。
防火月間を迎えて、政府は、今一度、防火体制の見直しと、火災に即座に対応できるシステムの構築を迫られている。火災によって毎年、数百人の命と膨大な財産が失われているからだ。(2日・スター)