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11月12日のまにら新聞から

「安全の保証はなし」

[ 705字|2001.11.12|社会 (society)|新聞論調 ]

女優殺害事件は語る

 有名女優ニダ・ブランカさんが顔を激しく殴られ、全身十三カ所を刺されて殺害された。彼女はショー・ビジネス界で最も愛された俳優の一人だった。親族や友人らは「彼女に敵はいなかった」と語る。これを信じるなら、怨恨が動機となったことをうかがわせる殺害方法は理解できないものとなる。

 彼女の死は、拘置中のエストラダ前大統領を「もはやこの国では誰も安全は保証されない」と嘆かせた。かつて人気俳優だった前大統領は彼女と共演した経験があり、決して政治的に発言したのではない。友人として、心から死を悼み、怒っている。この言葉はまた、事件にショックを受けた国民の不安を端的に物語っている。

 アロヨ大統領は彼女のファンの一人であったことを明らかにし、犯人の検挙と厳正な処罰を誓った。だが、アロヨ政権は今年一月の発足以来、治安対策に苦慮し続けている。フィリピンを敬遠しているのは投資家や観光客だけではない。誘拐犯らの標的になる可能性が高い富裕層では、国外へと「逃走する」傾向に拍車が掛かっている。

 大統領の誓約を率先して実現せねばならない国家警察がこの事件に口を閉ざす一方、国家捜査局(NBI)は顔見知りの犯行とみている。しかし、捜査の進展で何が明らかになろうと、国民の不安は沈静しないだろう。

 特に首都圏の住民はこれまで、十分すぎるほどの不安を味わってきた。誘拐、強盗、窃盗、車両盗難︱︱など。さらに、有名女優が街中で刺殺され、遺体が駐車場に止めてあった車両内から発見されたなら、誰がどうして身の安全を確信できるだろうか。

 市民に安全を再び保証する手はだだ一つ。犯人を捕まえて刑に服させることしかない。(9日・スター社説)

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