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10月15日のまにら新聞から

市民に十分な保護を

[ 694字|2001.10.15|社会 (society)|新聞論調 ]

長期化する報復攻撃

 米軍とその同盟国が八日、アフガニスタンのタリバン政権とテロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏のテロ組織アルカイダへの報復攻撃を開始、世界を新たな政治的、経済的な不安定へと陥れた。

 ブッシュ米大統領は「軍事基地やテロ組織の集積地だけが標的だ」と述べた。この「公約」が厳守されることを望む。アフガニスタン国民は旧ソ連軍が侵攻した一九七九年以来二十年余り、戦いの中で傷つき悲惨な生活を強いられてきた。今回の報復攻撃開始で、彼らの生活はいっそう困窮するだろう。

 一九九一年の湾岸戦争は記憶に新しい。その際も米国は「標的は軍事施設のみ」と言明したが、実際は数千人の市民が犠牲になった。

 タリバン政権は八日、「報復攻撃こそテロ行為。決して米国はゴールにたどり着けないだろう」との声明を出した。ビンラディン氏を捕えることが報復攻撃のゴールだとすれば、膨大な時間を要することになるだろう。アフガニスタンは厳しい山岳地帯を有し、そこに政権を構えるタリバンや潜伏しているビンラディン氏を探し出すことは至難の業と言える。アフガニスタンでイスラムゲリラと戦闘を続けた旧ソ連軍では、一万五千人の兵士が命を落とした。

 また、タリバン政権のガードが固い上、アフガニスタンの複数の場所から同時にビンラディン氏が確認されたという報告もある。捕えてみても、本物かどうか見極められないかもしれない。

 米国が「大規模な戦争には発展させない」と公約したにもかかわらず、報復攻撃開始により世界情勢は混とんとし始めた。戦闘が拡大しないことと、いかなる戦争でもまず最初に危険にさらされる市民が十分に保護されることを祈る。

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