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3月26日のまにら新聞から

「危険が一杯」の道路

[ 677字|2001.3.26|社会 (society)|新聞論調 ]

絶望的な交通事情

 十九日に連続して起きた二つの交通事故は、二十四人もの犠牲者を出した。交通事故とはいえ、これは一種の大量虐殺と言っていいだろう。

 最初の悲劇はブラカン州ボカウエ町で起きた。同日未明、同町内の北ルソン有料高速道路でマニラに向かって走行中のトレーラーが反対車線に飛び出しバスと正面衝突したのだ。

 運転手の居眠り運転が原因とみられるこの事故で、トレーラーとバスの運転手、乗客など十二人が死亡、少なくとも十二人が重傷を負った。

 そのわずか数時間後、パラニャーケ市のコスタルロード沿いの駐車場にタンクローリーが突っ込み、停車中のジプニーに衝突、乗客十四人が死亡、三人が重傷を負った。

 衝突の際、ジブニーから漏れた軽油が引火して炎上、犠牲者の遺体は判別不可能なまでに焼けこげていたという。また、タンクローリーの運転手は現在、逃走している。

 あらゆる予防策を講じても事故は起きるものだが、発生件数は減らせるはずだ。しかし、フィリピンの道路は「危険が一杯」と言える。交通事情は絶望的である。

 なにせ、読み書きが出来ず、したがって交通標識の読めない者でも運転免許証を取得できる。眠気防止のため麻薬を服用して運転する者すらいるのが現状だ。

 さらに、運転手は車の整備などにはお構いなし、車の所有者も車は動けばいいとしか思っていない。交通事故が起きてしまい、目撃者が警察に通報しようとしても泥や排気ガスで汚れたナンバープレートは誰も読みとることが出来ない。

 誰も基本的な交通ルールも知らず、免許を取得するにはお金さえあれば十分。これが十九日に起きた悲劇の原因だ。

新聞論調