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2月5日のまにら新聞から

批判より癒しが必要

[ 680字|2001.2.5|社会 (society)|新聞論調 ]

マスコミの新政権批判

 マスコミは、アロヨ新大統領を支援する意思があるのだろうか。

 過度に批判的なマスコミは、大統領が何か良いことをしようとしても、よこしまで根拠のない予断、推測により国民の目から遠ざけてしまう。記者は、利益を追求する様々な団体の代弁者として振る舞い、大統領の一挙手一投足に「隠された目的」を見ようとする。

 遠からず、エストラダ前大統領に向けた同種の批判が、新大統領にも向けられる。そして、彼女が本格的に仕事に取りかかる前につぶし、国が抱えている問題の「いけにえ」にするだろう。

 疑念は陰謀や憎しみを生む。棺おけなしでは花の香りさえかぐことができない冷笑家らに、希望に満ちた「ピープルパワー2」の雰囲気をぶち壊せてはならない。

 もちろん、私たちは油断してはいけない。ただ、すべての人間が汚れていると思う屈折した理想家のように振る舞う必要もない。

 確かに私たちは、公務員たちに裏切られ続けてきた。しかし、一握りの人間の不正や過ちをすべての公務員の責任にしてはいけない。人の善なる可能性を信じようではないか。エドサ集会に駆けつけた人々は、その可能性を身をもって示したのだ。

 マスコミは社会の傷をさらすことで「ピープルパワー2」を実現する役割を果たしたが、今それよりも大きな使命があることを訴えたい。それは、政変で傷ついた国を癒(いや)すことだ。「疑念の文化」に根差した派閥主義をはびこらせることでは決してない。

 政策を決定する人間が政府内に複数いること、そして多くのグループが大統領の決定に異を唱えることは、政府そのものをマヒさせること以外の何物でもない。

新聞論調