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1月22日のまにら新聞から

権力は国民が付与

[ 695字|2001.1.22|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領が学んだもの

 閣僚らの辞任が相次ぎ、国軍や国家警察までもが政権に反旗を翻した。こんな中、エストラダ大統領は十九日夜、国営テレビで演説し、今年五月の上下院選に合わせ大統領選を繰り上げ実施するよう下院に求めると表明した。彼とその支持者は「おぼれるものはわらをもつかむ」気持ちで政権の延命を試みたのだろうが、これはただその場しのぎの手段にすぎない。

 大統領とその腐敗した取り巻きを見限るものが続出し、政権が崩壊状態になる一方、ペソの対ドルレートは一ドル=四七ペソまで反騰し、大統領の辞任を求めるエドサ通りの群衆は拡大し続けている。

 去就が注目されていたラクソン国家警察長官も同日、「一生で一番つらい決断だった」とコメントし大統領の支持を取り下げ、大統領弁護団長のメンドーザ弁護士、大統領と親しいデチャベス氏は香港へ出国した。

 同日夜、国軍の装甲車がマラカニアン宮殿に突入、周辺は「大統領と家族が脱出か」と一時騒然となった。十五年前の「ピープル・パワー革命」の際、この宮殿から逃亡したマルコス夫妻のことを人々は思い出した。

 マルコス政権崩壊を目撃したエストラダ氏は、何か教訓を得たのだろうか。二年半前の大統領選挙では、資質に問題があったにもかかわらず貧困層の圧倒的な支持を得て当選を果たした。しかし当選後、彼は大統領の地位を悪用し不正を働き続けた。

 この「ピープル・パワー2」への直面という最悪の方法でエストラダ大統領は大切なことを学んだ。それは国の指導者というものは国民の信頼の下に、権限を与えられているに過ぎないということだ。これを自覚することを怠る指導者は、国民の怒りに触れることになるだろう。

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