報道機関の義務全う
弾劾裁判始まる
エストラダ大統領の弾劾裁判が始まった。本紙も創刊十五周年を迎え、裁判動向とともに、フィリピンの民主主義に対するこの挑戦を日々記録していきたい。
共和国史上初めて、われわれは汚職など大統領の誤った行為を裁く。植民地支配から解放されたアジアでも大統領の弾劾裁判は初めてのことだ。
フィリピンはマルコス独裁政権崩壊へと導いた一九八六年のエドサ革命に続き、今回また、成熟した民主国家の在り方をアジア各国に示した。
この危機を乗り越えるため、本紙はエドサ革命と同様に弾劾裁判でも報道機関としてチェック・アンド・バランスの機能を果たす。
市民運動の再燃は、果たして不安定な民主国家の象徴なのだろうか。それは、政府の汚職体質に終止符を打つことを決意した国民の意思の表れと思える。
違法とばく疑惑に絡む大統領の退陣要求は彼の任期の真っ直中に起きた。大統領側は、国民の直接投票により選出されたことを強く主張したが、国民は一九九八年の大統領選で犯した自らの過ちを正すことを選んだ。
無論、このような危機は国民が望んだわけではないが、われわれはこれを乗り越えなくてはならない。
政情不安が引き起こした経済低迷で報道機関も苦境に立たされている。しかし、情報技術(IT)革命の恩恵を受け、インターネットなどの新たなメディアを手に入れた。本紙は国民に真実を責任持って伝えるという義務を果たすことを誓う。