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11月6日のまにら新聞から

沈没しかけの船

[ 621字|2000.11.6|社会 (society)|新聞論調 ]

エストラダ政権の命運

「我が国の経済状態はユーゴスラビアやインドネシアよりましだ」とアレクサンダー・アギレ大統領安全保障顧問はコメントした。だが、実際この国の経済状態は明らかに破滅の道を歩んでいる。多くの経営者らはこのまま政府が何の改革も行わなければ、この国の今年のクリスマスは不況の影響をもろに受け、二〇〇一年には多くの失業者が国内に溢れると予想している。マニュエル・ロハス貿易産業相さえもまた「エストラダ政権は壊れかけている船だ」と発言している。この「壊れかけの船」に乗っている人々は船が沈んでサメのえさになることも案じていないのだろう。問題はこの沈没しかけている船が国の命運を握っているということである。

 十月上旬に大統領の違法賭博(とばく)献金疑惑が判明して以来、ペソの対ドルレートは一日平均五十センタボずつ下落し続け、底を打つ気配もない。近隣諸国はフィリピンが再び「アジアの病人」になったと見なし始めた。

 この船を救うことは出来るのだろうか。エストラダ政権は発足以来、多くのスキャンダルと反対派の度重なる批判にも関わらず、国民の支持を得てきた。

 しかし全国民を裏切ったとしか思えない違法賭博疑惑発覚以来、ついにすべての人が彼を見限り、政権の命運は尽きた。海外の投資家も大統領としての力量を見限ったようだ。

 大統領は今や占いで生き残る道を模索しているようだ。しかしこの祈りは国民のためではなく、彼個人の生き残りをかけたものである。(30日・スター)

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