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7月24日のまにら新聞から

人質の一括解放を         

[ 625字|2000.7.24|社会 (society)|新聞論調 ]

アブサヤフ誘拐事件

 イスラム過激派、アブサヤフによるスルー州ホロ島での人質事件で、ドイツ人女性(57)が十七日に解放され、「全面解決近し」との期待が高まった。

 高血圧症が悪化していたこの女性は四月二十三日にマレーシア領のシパダン島のリゾート地で誘拐された外国人観光客ら二十一人のうち、三番目に解放された。六月末に初めてマレーシア人男性が解放され、続いて七月十四日には同じく別のマレーシア人男性が、そしてその二日後にドイツ人女性が解放された。人質解放のペースは早まっているようだ。

 だが、世界中が注目しているのは、アブサヤフが人質解放の引き換えに何を手に入れたのかだ。

 彼らの活動が革命的なものと認知されたいのなら、国際メディアを敵に回すことは最も避けるべきことだ。国際世論に耳を貸そうとしないのは、アブサヤフの政治的配慮の浅はかさを表している。

 比政府は依然として、解放の際に身代金の支払いがあったことを否定している。だが、マレーシア政府は自国民の人質解放と引き換えに、アブサヤフに対する生計援助を約束している。交渉関係者によると、三人の人質解放には身代金が支払われた。二、三人目の人質が解放される直前、外国政府は犯罪組織を使ってでも自国民を救出するとの報道がなされていた。

 各国政府がアブサヤフと直接交渉し一人ずつ解放されるより、残る全員を一括解放する道を探るべきであろう。支払われた現金が身代金と呼ばれるか否かは問題ではない。(19日・インクワイアラー)

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