新聞論調
The Tone of the Press
死因の徹底調査を
OFW年次死亡報告
ロレン・レガルダ上院議員の報告によると、一九九九年に海外で死亡したフィリピン人海外就労者(OFW)は、女性百十四人を含む計六百七人だった。このうち、百十三人については死因が報告されておらず、全体の約一九%が家族への説明もないまま、無言の帰国をしている。
死因のうち約五八%(三百五十一人)が健康上の理由、約一一%(六十五人)が交通事故死、八%が就労中の事故によるものだった。また、十六人が殺害され、十四人が自殺した。
同議員は外務省や雇用労働省に対し、虐待などの死者がいないかどうかチェック機能を強化するよう求めている。
九八年に死亡したOFWの遺体の中には、臓器の一部が摘出されていたものが三体あった。三体とも自殺と報告されていたが、首をつった跡などはなく、臓器を取り出したとみられる傷跡が残っていたという。臓器売買を目的にシンジケートが自殺をみせかけ殺害した疑いが出ている。
今回の百十三人についても死因不明のまま、放置しておくことは許されない。政府は雇用主や契約内容などを再チェックし、不審な点を残さぬよう徹底調査する必要がある。
エストラダ大統領は二〇〇〇年をOFWの年と定めた。海外雇用局など関係省庁は、OFWの教育、職業訓練などのセミナー実施と同時に、虐待死防止のため就労あっせんに関する法整備など保護策の一層の強化が求められている。もちろん、OFWの死因調査は政府の義務である。(7日・タイムズ)
だれが改革担うのか
PSE調査部員辞任騒動
証券取引所での株取引は今日行われるのだろうか。市場監視を担当する証券取引所(PSE)の調査部員は全員辞任した。証券取引委員会(SEC)のヤサイ委員長が「取引停止」の通達を出したニュースは取引終了後、夜遅く流れた。だが、この日もフィリピン証券所株価指数は前日比五一・五八ポイントも下落した。娯楽関連企業、ベストワールド・リソーシズ(BW)社の株式を不正操作したとされる仲介業社数社に対する責任追及をPSEの幹部があいまいにしようとしたのが下落の要因だとされている。
調査部のアルマドロ副部長は辞職願いの中で「不健全な市場を野放しにする旧態依然な上層部の見解は虚偽に満ちており、私の信念に反する」とPSE上層部を痛烈に非難した。
しかし一方、辞任騒動の裏には、調査に対する議会側の不信感があることも見逃せない。同副部長はBW社社長のダンテ・タン氏の不正株価操作などを暴いたが、「身内」には甘い点があったようだ。副部長の元上司が経営する仲介業者に対しても、疑惑がかけられていたが、副部長は「不正関与の事実なし」との調査結果を発表した。
この辞任劇が市場にもたらす影響は絶大だ。証券市場に今、必要なのは徹底的な改革だが、「だれが改革を担うのか」という最大の課題が残る。仲介業者はもとより、大統領府も「友人」を守ろうとするやからが多く、疑惑解明への道のりは遠い。(8日・スター)