ハロハロ
毎年、この時期になると新潮文庫「マイブック」の新年度版を求める。日付と曜日が365日、ペ?ジごとに記載されており、最後に「あとがき」の余白があるだけ。全編白紙の文庫本である。「本書の使い方」を見ると「手帳として使うか、日記をしたためるかは随意に」といった趣旨が書かれている。むろん、日記のためだ。
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高1のとき、国語の教師が「日記をつけて提出せよ」と宿題を出した。それで初めてコクヨのノートブックに日記を書いた。いま取り出してみると、教師の検印がある。以来、一日も欠かさず書き続けた?いや、それほどマニアックではない。忙しくて日記のことなど忘れていた時代が長い。昭和天皇が亡くなられた1989年の日記帳など1月7日に「天皇崩御」と4文字があるだけ。88、89年は空白だらけだ。
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かつて若い記者志望の若者たちに文章になじむため日記を書いてみるよう奨励したことがある。しかし、多くが三日坊主で終わるとぼやく。いいじゃないの、三日坊主も10年後には30日になる。それって十分、貴重な自分史にもなるぞ。そう言って励ましたものだが、全体に完ぺき志向が強く、一度中断すると萎(な)えてしまい、続かなくなるようだ。(紀)