ハロハロ
「伝説の報道写真家」と言われている福島菊次郎さん(89)が今月14日、東京で講演会「遺言PART3」と写真展「日本の戦後を考える」を開いた。2007年と08年に次いで3回目の風変わりな遺言講演会というが、今回は自ら「最終回」と名付け、レンズを通して体験した戦後史を熱弁した。最新刊の「写らなかった戦後3 福島菊次郎遺言集 殺すな、殺されるな」の出版記念を兼ねた催しでもあった。
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長い間、通信社で仕事をしながら、実はこれまで福島さんという人物像や業績を全く知らなかった。マニラ新聞にいた元記者に誘われ講演会に参加したが、反戦・反差別運動にかける熱意と行動力は半端ではないと思った。2時間半に及ぶ講演で、生い立ちからカメラマンになった動機、多岐にわたる撮影現場での体験談などを淡々と話した。これまで刊行した写真集は10冊を超える。
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展示された写真展のパネルは約60枚。「写真で見る戦争責任」「ある被爆者の記録」などテーマごとに整理され、約300点の作品が飾られた。天皇の戦争責任を問い続け、自衛隊違憲を信念とし、講演でも憲法9条と自衛隊存続の矛盾を熱っぽく訴えた。戦争責任を回避する「終戦」というあいまいな表現を嫌う。「敗戦」と呼ばず「終戦」と言う人とは口もききたくないと言い切った。(富)