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12月22日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 627字|2008.12.22|社会 (society)|ハロハロ ]

 「九月から始まる」といわれるフィリピンのクリスマスシーズンは十二月に入って本番を迎えた。まだ売り出しのさなかなのか、売れ残りか、文房具売り場は飾る場所がないくらい様々なデコレーションで埋まっている。カトリックの教会では今月十六日から二十四日まで、「雄鶏(おんどり)のミサ」と呼ばれる早朝ミサが執り行われている。クリスマスはフィリピン国民にとって最も楽しい年中行事に違いない。

 先日の夜、筆者が住むビレッジのクラブハウスで、クリスマスパーティーが開かれた。集まった約六十人は、誰もがファーストネームで呼び合う仲で、口々に「メリークリスマス」。催しは宗教色抜きで、スピーカーから軽快なメロディーが流れ出すと、小学校の講堂ほどある会場はダンスホールに早変わりした。どのカップルも六十歳前後の人たちだが、しなやかな腰つきで踊り、笑顔がこぼれる。まるでアメリカ映画でも観る光景だ。

 「フィリピン諸島にスペインはカトリックを残し、アメリカは教育制度と英語を残した」とよく言われる。スペインが植民地支配をしたのは三百二十七年間で、アメリカは四十八年間。都合、三百七十五年もの間、フィリピン諸島は外国に支配されていたことになる。国民の相当数は、先祖代々のカトリック教徒としてキリストの生誕日を迎え、それを、祖父母の時代から受け継いだアメリカ的な気性で、明るく陽気に祝う。華やいだクリスマスパーティーが、図らずもこの国の歴史を思うひと時だった。(濱)

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