ハロハロ
二十四歳の娘から聞いた話。ジーは目下失業中。学費が続かず、カレッジを中退したのを悔やむが、まともな職はほとんど短大卒以上が条件である。この間、テレビのコマーシャル撮影でエキストラに雇われて五百ペソもらった。それきり良い仕事はない。カビテ州から時々、職探しに首都圏に出る。片道の交通費に五十ペソ以上かかるのが痛い。食事を抜いてしまう。
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母親はサウジアラビアでメードをしている。十年以上、異国で働いて何とか下の息子も高校を出した。心臓が悪くて、もう帰国したいと電話でぐちってくる。ずっと前に離婚しているので、「お前も早く独立しなさい」がいつもの言葉だ。親友が日本人と結婚しており、芸能人として日本で働く夢もみた。しかし、二度目の日本渡航を期待する別の友人は「もう待ちくたびれた」とぼやいている。
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「私は中東で働こう」。ジーはそう決心して旅券を取った。国に払う手数料が七百五十ペソもした。何度も食事を抜いた。メードはしたくない。湾岸のある国でデパートの売り子など販売員を募集していると耳にした。英語には自信がある。待たされた後、あっ旋業者から「年齢制限は二十三歳まで」という返事。なんで最初から教えないのだろう。がっかりした途端、お腹が空いた。お金がない。外でおかずだけ買い、ご飯を炊いた。炊きながら泣いた。 (水)