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9月5日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 508字|2005.9.5|社会 (society)|ハロハロ ]

 九月に入ると首都圏近郊の野原などで、群れをなして舞う赤トンボの数が増えた。童謡にもなっていて、日本人には親しみのある昆虫。同じトンボでも、日本では大きさや形の違いでヤンマ・シオカラ・オハグロなどの呼び名がある。フィリピノ語で「トゥトゥビ」がトンボだが、赤トンボを地元でどのように呼んでいるのか︱︱。若い人たち何人かに尋ねてみた。

 「知らない」と誰もが首を横に振る。筆者が知る限られた範囲だが、身近にいる鳥や花木の名を知らない人も驚くほど多い。赤トンボの場合は答えの代わりに「あれが低く飛んでいると間もなく雨になる」。「あの鳥は落ち穂を食べていて味がいいので高く売れる」「闘鶏に出すと強いのだが、捕まえるのに一苦労」といった説明はあっても、名前はかえってこない。

 たとえ名前は知らなくても、地元の人たちは野生の生物を生活に活かす術(すべ)を心得ているようだ。鳥のフィリピノ語名が知りたくて『フィリピン鳥類図鑑』を求めると、出ているのはすべて英語。これが、鳥の名前が普及しない一因かもしれない。いずれにしても、一度会った人の名前をいつまでも覚えているので「脱帽」させられる同じ国の人と思えない。 (濱)

ハロハロ