ハロハロ
[ 505字|2005.2.14|社会 (society)|ハロハロ ]
寒い東京を離れ、ゆっくり名物の砂むし温泉でも楽しもうと南九州に出掛けた。ところが、これが大間違い。今冬最強の寒波が南下し、連日寒風と吹雪に見舞われ散々な目にあった。霧島温泉では山下りの特急バスが全面運休。タクシーを使って一時間近くかけ脱出するはめになった。
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雪と満開の「菜の花」という奇妙な風景を見ながら鹿児島市から一時間ほどの知覧特攻平和会館を訪ねた。太平洋戦争末期、この町の特攻基地から学徒出陣の若者たちが機体に爆弾を抱え次々と片道飛行に飛び立ったところだ。館内には復元された戦闘機「隼(はやぶさ)」や「零(ぜろ)戦」などのほか、特攻隊員が家族や知人に残した遺書、手紙、辞世の句などが展示されていた。
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出撃前の隊員を世話した食堂の女主人たちが、一人ひとりの思い出話を収録した「語り部コーナー」があった。「死んだらホタルになって帰ってくる」。そう言い残して出撃した隊員がいた。翌日、本当にホタルが庭先に飛んで来たと涙声で語っていた。不時着し生き残った隊員もいた。映画化された「ホタル」の中で、高倉健がその隊員役を演じている。特攻隊と自爆テロ。時代の流れをあらためて考えさせられた。 (富)