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1月31日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 419字|2005.1.31|社会 (society)|ハロハロ ]

 引き取り手のない日本人の遺骨を合葬する墓がルソン島カビテ州に建った。日本人一人当たりの国内総生産(GDP)が三万ドルを超えた今、世界広しといえども日本人専用の「無縁塚」が建つような国はなかなかない。塚には日比の特別な結び付きが投影されていると思う。

 日本の親類に「お前の骨などいらぬ」と言われ、信じていた比人にもそっぽを向かれ、無縁仏になることは尋常ではない。それなりの覚悟や思惑、間違い、勘違いなどが絡み合わないとこうはならない。「特別な結び付き」には、「国際交流」などといった通り一遍の言葉では表現できない、危うい奥深さがある。

 一九九〇年代半ばごろから「困窮邦人」という言葉を記事で使うようになった。窮乏の果てに死んだ日本人男性を何度か取材したが、赤の他人の比人に面倒をみてもらっていたケースが意外に多かった。捨てる神あれば拾う神あり、か。無縁塚の碑文は「比を愛し、比に助けられたあなたがこの地に永遠に」と刻む。(酒)

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