ハロハロ
[ 433字|2004.12.20|社会 (society)|ハロハロ ]
「自主出頭か、それとも偽装結婚で違法滞在を続けるか」。先日、日本のある地方都市のパブで働くフィリピン人女性の知人から突然、国際電話が入った。自主出頭のメリット、偽装結婚の危うさなどを一通り説明したものの、「どちらを選ぶべきか」という今後の人生を左右する問いに答えることはできなかった。
◇
彼女は一九九六年ごろに芸能人資格で初訪日した。すでに十数回、比日間を往復し、ミンダナオ島の古里に立派な家を建て、亡父の墓を修復し、兄や弟にタクシーなどを買い与えた。今年初めに訪日する直前には「もうすぐ三十歳。これからは家族ではなく、自分自身の将来のために働く」と話していた。
◇
ところが、就労先で売春を強要されそうになり、店を飛び出した。知人を頼って別の店に移り半年ほど違法就労を続けている。「旅券は他人名義。捕まっても本名で日本へ戻るわ」と高をくくっていた彼女。しかし、近く実施される入国制限で人生設計は大きく狂う。設計図の書き直しも比の現状では難しい。 (酒)