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5月10日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 530字|2004.5.10|社会 (society)|ハロハロ ]

 六日付地元各紙に「今年第一・四半期のエコゾーン)からの輸出額は前年同期比二八・二%増」の見出しが躍った。特に、民営工業団地内エコゾーンからは同四〇%増、雇用者数は全体で同一五%伸びたという。まるでこの国の景況が目覚しく好転したかのような錯覚に陥る。どの記事も比経済区庁発表の丸写しで大同小異。日本のメディアで働いた際、この類を「ちょうちん記事」と呼んだ。

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 エコゾーンでの生産活動はこの国にどんな付加価値をもたらしているのか。極論すれば日給二百五十ペソから三百ペソで働く従業員に雇用の場を提供しているに過ぎない。特別経済区での輸出入品は免税され、投資家は税制面をはじめさまざまな優遇措置を付与されている。つまり、上の記事は日本の新聞に掲載される通関統計記事とはまったく異質な代物なのである。

 問われているのは記者の資質である。確かに雇用創出は最優先事項だ。ただし、対比進出した外資は技術移転を柱に付加価値をどこまで付与しているのか。政府は外資進出を利用しつつ自国本来の産業育成戦略をどう練っているのか。これをチエックし、問題提起するのがメディアの役割である。「敵は中国にあらず。比国のシステムにあり」。こう叫びたい衝動に駆られた。(康)

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