ハロハロ
[ 437字|2003.5.26|社会 (society)|ハロハロ ]
「何が本当なの」。この国で記者稼業をしているとぼやきたくなることがままある。比へ来た直後、大型イカダが川で転覆、二百人以上が水死した事故もそうだった。発生は夜でしかも停電中。警察官は口々に事故状況や原因を話すが内容はバラバラ。「何が本当や」と目撃者や生存者を探し続けた。
ミンダナオ地方で続く軍事衝突も事情は五十歩百歩だ。「ゲリラ三十人死亡」(国軍発表)と言っておきながら、聞けば「回収した遺体は十体。他は捜索中」(同)。「前線の国軍兵士が倒れるゲリラを三十人ぐらい見た」程度の話でしかないのだろうが、戦場へ出向いて遺体数を勘定することもできず「ゲリラ三十人死亡」と記事にする。
爆弾テロは実行者の意図があからさまに絡む分、余計ややこしい。「反政府勢力の犯行」という国軍発表と「国軍の破壊工作」という反政府勢力の言い分を書き分けながら泥仕合の片棒を担ぐ。ただし、情報量では国軍側の圧勝。不偏不党などという幻想からどんどん離れながら「何が本当や」と今日もブツブツ。(酒)