新聞論調
The Tone of the Press
値上げ幅の再設定を
私立校授業料問題
七日から新学期が始まるが、生徒やその父母を取り巻く「学校問題」が山積している。
第一は生徒の登下校問題。
学校が休みの期間でさえ、交通渋滞が緩和されていないのが首都圏の現状。学校が始まると、バス、ジプニー、軽量高架鉄道(LRT)などがさらに混み合い、数百万人の生徒も「苦行」に耐えなければならない。
また、雨期に入ると、首都圏各地では、深い水たまりができる。重いカバンを持った生徒が、道路の横断やジプニーの乗り降りする際で危険を伴うことは明らかだ。
第二に授業料高騰の問題。
フィリピンの平均的家庭の父母の多くは教育熱心で、子供の教育費ではできる限りの出費をいとわない。
多くのフィリピン人が英語の読み、書きができるという理由もこのような教育熱心に由来するとされている。
一方で、私立校の授業料をめぐり学校の在り方が今、問われている。ある有名私立校では年間授業費が昨年の三万五千ペソから、五万ペソに跳ね上がった。教育文化スポーツ省が私立校の授業料値上げ幅とされていた一五%の上限を撤廃したためだ。
設定されていた一五%の枠内でも年間インフレ率と比べ高すぎるため、家計を圧迫していたというのに、この上限を撤廃するとはとんでもない話だ。
私立校を含むすべての学校は生徒を教育するためのものだ。決して金儲けの場所ではない。
同省は即刻、授業料値上げ幅の上限を再設定し直すべきだ。(1日・スタンダード社説)
投資促進を訴え
大統領、日本と韓国訪問
エストラダ大統領が訪日し、フィリピンへの一層の貿易・投資の促進、対比援助の促進などを訴える。日本はフィリピンにとって政府開発援助(ODA)では第一位、貿易相手国としては第二位にランクされている。ODAの供与額は総額で一兆六千八十七億円にも上っている。先に東京で開かれたフィリピン支援国会合では、日本政府は新たに一千八百六十五億円のODA供与を表明した。
滞日中、大統領は「アジアの未来」をテーマとする国際会議で演説し、フィリピンの投資環境の改善と比較優位を強調する予定だ。会議は日本経済新聞が主催し、アジア各国の政府首脳が出席する。
続いて六日から三日間、大統領は韓国を訪問する。韓国との国交は今年で五十年の節目を迎えている。金大中大統領との首脳会談では、文化交流、航空サービス、民主政治の徹底など各分野での協力推進のため話し合いが行われる。
日本と同様、貿易と投資の促進が目指されることはいうまでもない。昨年の両国間の貿易額は、アジア通貨危機の最中、前年比九・八%増の三十六億ドルを記録している。韓国には一万四千人に上るフィリピン人海外就労者がおり、彼らの取り扱いも首脳会談での重要項目である。
今回の両国歴訪の成功を祈念する。大統領が近隣諸国に対し、政権が達成した成果を示し、フィリピンにはビジネスチャンスがあると印象付けるだろうと確信する。 (2日・ブリティン社説)