在フィリピン日本国大使館は20日、首都圏タギッグ市ボニファシオグローバルシティ(BGC)のグランドハイアットホテルで天皇誕生日祝賀会を開催した。祝賀会にはエスクデロ上院議長、ロムアルデス下院議長、ゲスムンド最高裁長官、国軍制服組トップのブラウナー参謀総長、アニョ安全保障担当大統領顧問、ボン・ゴー上院議員らのほか、カールソン駐比米国大使、ブラウン駐比教皇大使、ガルシア駐日比国大使など内外の外交使節や駐在武官、日系各団体の代表者など約千人が参加。23日に65歳になられる今上天皇陛下の誕生日を一足先に祝福した。
遠藤和也駐比日本国大使は、昨年自身のキャリア初の大使として比に着任して以降も急速に進んでいる比日の外交・安保協力を回顧。「着任直後の4月に歴史的な比日米首脳会談が行われ、7月に開かれた2回目の外務・防衛閣僚会談(2プラス2)では部隊間協力円滑化協定(RAA)に両政府が署名し、12月には比上院で承認された。また昨年4月以降、同志国間で海上共同活動(MCA)が(海上自衛隊を含めて)実施されており、2年連続で決定した政府安全保障能力強化協力(OSA)も進んでいる。今年1月には、日米比首脳のオンライン会議の直後に岩屋毅外相が比を訪問し、マルコス大統領、マナロ外相、経済閣僚と実りのある議論を交わした」と振り返った上で、「近い内にもう一つハイレベルのマニラ訪問が見込まれるなか、比日安保関係の一層の強化が期待される」とした。
経済関係では「外資規制が緩和され、より多くの日本企業が比に関心を持っている」と報告。特に、昨年11月に制定された企業復興税優遇措置法改正法(CREATE MORE法)の施行細則が最近署名されたことに歓迎の意を表した。
さらに、昨年日本を訪れた比人が80万人以上に達したことを報告。今年4月に大阪・関西万博が開幕することを紹介した上で、査証代理申請機関(センター方式)への移行を行っていると説明し、「(訪日比人のための)ビザ発給システムの強化に取り組んでいる」と述べた。
その上で、「比日関係が一層重要性を増しているこの時期に、大使として働けることを名誉に思う」とし、さらなる比日関係の深化を祈念した。
比政府からはデラベガ外務次官があいさつ。「比日関係は相互尊重と共通の価値、そして平和と繁栄を目指す共通のビジョンによって結びついている」とした上で、日本の国会承認待ちとなっているRAAを取り上げ、「比日防衛協力の力強い象徴として、連結した安全保障を大いに強化する」と強調。比日米首脳会談の合意に沿って昨年12月に比日米海洋協議が開催されたことにも触れ、「これらの取り組みは地域のこれからの課題に対する強靭(きょうじん)性を大いに高める」と述べた。
その上で、「来年の国交正常化70周年を前に、さらに両国の協力関係が強化されると楽観し、自信を持っている」と述べた。
祝賀会では京都・祇園の老舗お茶屋「富菊」の舞妓・芸妓さんが来比して日本舞踊「松尽くし」を披露。また、会場には大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も来場し万博の広報に参加したほか、沖縄県や各日本企業がブースを出店し、日本の食や商品を来場者に紹介した。(竹下友章)