15歳未満の出産が増加 大統領が性教育の重要性指摘
10歳~14歳の出産件数が2019年の2411件から23年は3343件に増加
国家経済開発庁(NEDA)の人口開発委員会(CPD)はこのほど、10歳~14歳の少女の出産件数が2019年の2411件から23年には3343件に増加したことを発表した。また23年は14歳以下で複数回の妊娠を経験しているケースが38件、19歳以下で5回以上の出産を経験しているケースが17件あった。未成年出産は、首都圏や中部ルソン、カラバルソン両地域で多く確認された。これを受け、マルコス大統領は17日、若年妊娠・出産に関する教育を重視する考えを示した。
CPDのベルサレス常任理事は、年齢・文化に配慮した包括的セクシュアリティー(性)教育の強化や、上院で審議されている若年妊娠予防法案の早期通過など、行政・立法での取り組みを推し進める必要性を訴えた。ただ、同法案は国内保守系団体から、「行き過ぎた性教育が行われる可能性がある」などとして反対の声も上がっている。
マルコス大統領は17日、訪問先のレイテ州ブラウエン町で記者団に対し、若年妊娠問題について、「若年妊娠や出産をした女性は妊娠中の自身のケアや子どもの世話など何も知らない。これを学校で教えることは重要なことだ」と指摘。「あまりに若くして子どもを生むということは大変なことだ。若年妊娠がどういう結果になるか教育する必要がある」との認識を示した。
▽「セクシュアリティー教育とは」
一方で、包括的セクシュアリティー教育についての考えを問われた際、大統領は「セクシュアリティー教育とはどういう意味か。男か、女か、これで終わりだ」とし、性の多様性に対する配慮を欠いたともとれる発言を行った。
包括的セクシュアリティー教育とはジェンダー平等や性の多様性、性と生殖を含む人権尊重を基盤とした性教育を表し、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)や国連児童基金(UNICEF)が推進している。(竹下友章)