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12月15日のまにら新聞から

ドゥテルテ氏が「犯罪」の中心 麻薬・超法規殺害で下院報告

[ 1298字|2024.12.15|社会 (society) ]

下院委員会が「ドゥテルテ氏は麻薬犯罪の中心だった」とする予備調査報告をまとめる

ロメオ・アコップ議員=12日、下院(下院公式フェイスブックより)

 下院のロメオ・アコップ議員(与党・国民統一党)はこのほど、前政権下の超法規的殺害問題や違法薬物問題などを調査する合同委員会の予備報告書の内容を発表した。同議員は、多くの容疑者殺害を伴う「麻薬戦争」(麻薬撲滅政策)を断行したドゥテルテ前大統領が「巨大犯罪ビジネスの中心であり、違法薬物と犯罪の首謀者だった」と強い表現で非難した。 14日の英字紙インクワイアラーなどが報じた。

 旧警察軍出身で、国家警察では犯罪捜査責任者(警視正)を経験、前政権ではドゥテルテ氏の所属する与党PDPラバンの議員として活動した同議員は、8月から続いている委員会で記録された複数人の元・現役の警察幹部や入管職員らの証言を挙げ、「ドゥテルテ氏とその仲間は『ダバオ・マフィア』と呼ばれ、競争相手をつぶし、麻薬取引から利益を得るために麻薬戦争を利用したと考えられる」と指摘。「辛い事実だが、われわれはだまされていたということになる」と述べた。

 一例として同議員は「ドゥテルテ氏の右腕」だったエドゥアルド・アシエルト元警視が、「公聴会で『前大統領は麻薬王の王だった』と証言している」と報告した。国外逃亡中のアシエルト氏は先月7日の公聴会にオンラインで出席。「前大統領の経済顧問だったマイケル・ヤン氏が麻薬密売に関与していたとの捜査報告をロナルド・デラロサ警察長官(現上院議員)や大統領府薬物取締庁(PDEA)長官に出したところ、その直後の2018年10月にドゥテルテ氏から自分(アシエルト氏)の麻薬疑惑を名指しで非難され、裏切られたと感じた」と証言した。

 アシエルト氏らはまた、ドゥテルテ氏の息子のパオロ現下院議員、義理の息子(サラ副大統領の夫)にあたるマナセス・カルピオ氏、ヤン氏の3人が総額98億ペソ相当の麻薬密輸に関与していたとも証言。「タラ」と呼ばれる税関内の賄賂システムを通じて密輸が実行されたとした。

 麻薬捜査中の超法規的殺害については、ロイナ・ガルマ元セブ市警察署長が「ダバオ・モデル」と呼ばれる麻薬容疑者殺害報奨制度が存在し、前大統領が全国に拡大するよう支持を出したと10月に証言したことで大きな争点となっていたが、さらにレイテ州アルブレア町の警察署長を経験したジョビー・エスペニド元警視も「標的となっている容疑者を殺害したら最大10万ペソの報奨金が得られるシステムがあり、当時大統領特別補佐官をしていたボン・ゴー氏(現上院議員)が管理していた」と述べ、ガルマ氏の証言を裏付けた。アコップ議員は「これにより、多くの民間人の犠牲が生じた」と指摘した。

 ドゥテルテ前大統領による麻薬戦争で発生した超法規的殺害については、ダバオ市長時代も含め、国際刑事裁判所(ICC)が捜査を行っている。比はICCを2019年に脱退しているが、ICC条約であるローマ規程は脱退後も加盟期間中の刑事責任は免責されないと規定する。マルコス大統領は先月、比国内での訴追に前向きな姿勢を示し、ICCの捜査についても「国際刑事警察機構(インターポール)を通じた捜査なら比の立場を侵害しない」との立場を示している。(竹下友章)

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