「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
30度-24度
両替レート
1万円=P3,940
$100=P5885

12月2日のまにら新聞から

麻薬戦争繰り返してはならない サラ氏立件に関連し警察長官

[ 999字|2024.12.2|社会 (society) ]

国家警察長官がサラ副大統領への立件に関連し、「麻薬戦争繰り返してはならない」

 拘束されていたサラ副大統領側近の下院から病院への移送に際し、サラ氏とその護衛が警察を妨害した事件を立件したことについて、国家警察のマービル長官は1日、「政治的な動機は一切ない。法執行に政治的な地位は無関係だ」と説明した。その上で、前政権期の麻薬撲滅政策(麻薬戦争)が末端の売人や麻薬依存者を標的にしているとの批判を受けていたことに触れ、「法執行の不作為や選択的適用が国民の信頼を損なうのを見てきた。ドゥテルテ政権の麻薬戦争を繰り返してはならない」と明言した。警察への逆告訴を宣言するサラ氏に対抗する文脈で、麻薬戦争を明確に否定する発言が警察トップから引き出された格好だ。

 ▽オンブズマンは管轄外

 一方、サラ氏の「大統領暗殺」発言を巡り、司法省報道官が「行政監察院(オンブズマン)もサラ氏を懲戒できる」と述べたことについて、行政監察院のサミュエル・マルティネス院長は1日、「この事案はわれわれの管轄ではない」と明言した。同院長は「サラ氏の発言は職務に関することというより、私人的性格があることから、われわれは管轄権を有していない」とし「これは偽情報。司法省のアンドレス報道官はわれわれに刑事上の捜査権があると言っているようなものだ」と批判した。

 ただ、サラ氏は副大統領室のオンライン会見で同発言を行っており、私人と公人の線引きの議論にも発展しそうだ。

 サラ氏は「暗殺」発言を巡り、国家捜査局(NBI)から先月29日に出頭命令(勾引状)を発付されていたが、下院の公聴会と予定が重なっていることを理由に日程変更を申し入れた。その後公聴会は11日に延期されたが、サラ氏はNBIに出頭しなかった。

 サラ氏の機密費不適正使用疑惑の内実を知るとされるズレイカ・ロペス副大統領首席補佐官は先月、下院の調査を妨害したとして議会侮辱で下院留置施設に拘束された。ロペス氏訪問後にそのまま下院施設内にとどまったサラ氏は、下院議員事務所から開いた23日の会見で「自分が殺されたら、大統領夫妻と下院議長を殺すようにある人物と契約してある」と発言。その後ロペス氏は精神的緊張から発作を起こし、病院に運ばれたが、その際に付き添ったサラ氏らが警備の警察官らと衝突した。

 入院先で拘束されていたロペス氏は先月30日、全ての下院審議に協力するという宣誓の下で拘束を解かれた。(竹下友章、ジャスパール・タン)

社会 (society)