飢餓経験率2倍に ビサヤ、ミンダナオ両地方
SWS世論調査でミンダナオとビサヤ地方の飢餓経験率が6月調査時からいずれも2倍近くに増えた
民間世論調査会社ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)は17日、9月中旬に実施した過去3カ月の間における飢餓状態の有無に関する聞き取り調査の結果を発表した。それによると、ミンダナオ地方の30・7%およびビサヤ地方の26%がそれぞれ飢餓経験があると答えており、前回6月に実施した同調査での回答率である15・7%および13・7%からそれぞれ2倍近く増えており、わずか3カ月間ほどで両地方で食料事情が急激に悪化していることが明らかになった。
今回の調査で「過去3カ月の間に少なくとも一度、食べたくても食べるものがないなど飢餓状態になった」と回答した。全体的な飢餓経験率も22・9%となり、前回の17・6%から5・3ポイント上昇した。
新型コロナ感染が拡大し、厳しいロックダウンが実施されたことから国内で困窮世帯が増えた2020年9月に実施された同調査で過去最高となる飢餓経験率30・7%が記録されて以来、4年ぶりの高水準となっている。
また、今年1~9月までの同調査に基づく平均飢餓経験率は18・2%となり、23年通年の同10・7%より7・5ポイント増加しており、インフレ高騰などでこの1年間で生活が困窮する世帯が増えたことを示している。ちなみにコロナ禍でロックダウンが敷かれた20年通年の飢餓経験率は21・1%で、現在より2・9ポイントだけ高いだけだ。
9月の飢餓経験率を地域別にみると、ミンダナオ地方(30・7%)とビサヤ地方(26%)が高水準となっているが、首都圏も21・7%と前回の20・0%から1・7ポイント増加した。一方、首都圏を除くルソン地方は18・1%で前回の19・6%から1・5ポイント下落している。
9月の飢餓経験の中でも「(過去3カ月間で食べるものがなかったのは)1度だけ」や「2~3度」からなる「中程度の飢餓状態」との回答率が16・8%だったのに対し、「しばしば」や「いつも(飢餓状態)」からなる「極度の飢餓状態」にあるとの回答率も6・1%あった。この極度の飢餓状態との回答率も前回の4・9%から1・2ポイント上昇しており、貧困化に加えて飢餓が常態化している世帯も増えていることが分かる。
この「極度の飢餓状態」との回答率を地域別でみると、首都圏が8・3%と前回の6・7%から1・6ポイント増えて国内で最も高い水準だった。ちなみにミンダナオ地方は同6・7%、ビサヤ地方は6・0%となっており、首都圏の世帯において飢餓の常態化がより深刻となっている。
同調査は9月14日から23日にかけて全国の18歳以上の成人1500人に対面インタビュー方式で実施した。(澤田公伸)