「合意後に不意打ち」 フレア発射で中国に抗議へ
中国戦闘機が哨戒していた比輸送機にフレアを発射した事件で、比政府が中国に抗議へ
8日にサンバレス州西沖パナタグ礁(英名スカボロー礁)で中国戦闘機が定期哨戒中の比空機の進路上でフレア(照明弾)を発射した事件を受け、マナロ外相、テオドロ国防相は12日、中国政府に正式に抗議する意向を示した。
空域での中国軍による比軍への威嚇・妨害事件は少なくとも現政権で初めて。マナロ氏は「つい最近(南シナ海アユギン礁の緊張緩和に関する)共通了解に至ったばかりで、不意打ちだった」と語り、「中国がなぜこのようなことをしたのか分からない。中国はいつも緊張緩和への希望を述べているが、こうしたことが起こると間違いなく緊張が高まる」と驚きと失望をあらわにした。
その上で、「今週に領有権問題に取り組む国家海洋委員会の会合が開かれ対応が協議される見込みだ」と明らかにし、「大統領はこの問題に強い立場を示しており、われわれもその立場を主張する」とした。
▽継続的発生を予想
テオドロ氏は「当然、外交上の抗議をしない選択肢はない。もし抗議しなければ、この行為を黙認したことになる」と明言。また、「このエリアにおける領有権を巡る紛争は継続しており、中国がこのような行動を今後も行うことは織り込まなければならない」と指摘した。
中国に対しては「かれらは力と暴力を持っている。かれらが行っているのはその行使だ」と非難。「中国にはフィリピンだけでなく他国の声にも耳を傾け、国際法に従って行動してほしい」とした。
国軍の発表によると、8日午前9時ごろ、パナタグ礁上空で定期哨戒を行っていた国軍の中型輸送機「NC212」の進行方向上に、中国の多目的戦闘機がフレアを複数回発射した。ブラウナー参謀総長は、「他の航空機の進路上でここまで近くからフレアを発射することは禁止されている。この行動は危険で、違法で、挑発的だ」と強調。
今後のパナタグ礁上空の哨戒については「パイロットには恐れず哨戒を継続するよう指示を出した。これはわれわれの権利であり、米軍基地返還以降、30年以上続けてきたのはわれわれだからだ」と述べた。(竹下友章)