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7月15日のまにら新聞から

「日系人集落に光を」 支援団体がクラファン開始

[ 754字|2024.7.15|社会 (society) ]

ミンダナオ南端にあるへき地日系人集落に太陽光発電装置を配布するワークショップを実施するためのクラウドファンディング開始

今もへき地に暮らす日系人=PLNSCのクラウドファンディングページより

 残留日系人の就籍支援などを行うNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)は12日、ミンダナオ南端にある電気の通っていないへき地にある日系人集落で太陽光発電装置を配布するワークショップを実施するためのクラウドファンディングを開始した。

 同ワークショップは9月12~16日、西ダバオ州ホセアバドサントス町にある住民の6~8割が日系住民とみられる地区で実施予定。いまだ電気・水道が通っていない同地区で、太陽光発電機の組み立て・配布、地元大学生などによるモニタリング事業を実施する。約2カ月で目標額100万円を目指す。

 PLNSCは昨年、設立されたばかりのパラワン日系人会とともに、日本人男性「ハラダ氏」の末裔約200人が暮らす同州シグピット地区で太陽光発電機の配布事業を実施。戦後、日系人への迫害が特に激しかった同州で日系人の地位向上を目的に、また電気の通っていないシグピット地区の日系・非日系人165世帯に電気を届けた。このプロジェクトの成功を受け、ダバオ日系人会がミンダナオにおけるへき地日系人集落でのプロジェクトを提案し、実施が決定した。

 戦前、フィリピンにはダバオを中心に全盛期3万人規模の日本人移民社会があったが、太平洋戦争を経て移民1世の父親や成人2世は徴用され戦死、または日本へ強制送還された。しかし、終戦時未成年だった2世は比人母と共に比に残され、その中には迫害を逃れるために出自を隠し、へき地に暮らすことを余儀なくされた人も多い。まだ日本国籍を回復できていない残留日系人は約500人いると推計されている。

 同事業へのクラウドファンディングは次のURLから。 https://camp-fire.jp/projects/view/776533

(竹下友章)

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