略奪罪で前大統領ら告発 公共事業受注巡り元上院議員
公共事業発注をめぐり便宜を図ったとしてトリリャネス元上院議員がドゥテルテ前大統領やゴー上院議員、ゴー氏の親族2人を略奪罪などで告発
トリリャネス元上院議員は5日、クリストファー・ボン・ゴー上院議員の親族が経営する建設会社に対する2007~18年までの公共事業発注契約を巡り、自身の地位を利用して便宜を図ったとして同上院議員やドゥテルテ前大統領、そして建設企業を経営している同上院議員の父親デシデリオ・リム氏、および異母兄弟のアルフレド・アルメロ氏の4人を略奪罪や汚職罪、および公務員の倫理規則違反などで司法省に告発した。
同元上院議員はかつて上院公務員サービス委員会の委員長を務めており、18年9月に発表されたフィリピン調査報道センター(PCIJ)によるドゥテルテ政権下におけるインフラ事業に関する調査報告書に基づき公聴会を開催した際に、収集した関連情報などから今回の略奪罪や汚職罪につながるドゥテルテ氏やゴー上院議員らによる便宜供与の実態を把握したという。
告発状によると、デシデリオ・リム氏やアルフレド・アルメロ氏が経営する建設企業2社はいずれもダバオ市に拠点を持つ個人事業主として登記された小規模建設業者で、1000万ペソを超える公共事業を受注したり、一度に1500万ペソを超える複数の公共事業を受注する資格がないにもかかわらず、ドゥテルテ氏が大統領職、アルフレッド・ゴー氏が閣僚に就任していた17年から18年だけでも、1億ペソ超~2億ペソ未満の事業費の公共事業を公共事業道路省から多数受注していた。
そのようなゴー上院議員の父親や親族が経営する建設企業に対し不正に発注されたとみられる公共事業は、ドゥテルテ氏がダバオ市長を務めていた2007年から記録上把握されているとし、そのような不正発注案件は100件を超え、事業総額は12年間で66億ペソに達するとしている。
トリリャネス氏は前大統領やゴー上院議員が不正な公共事業の発注を通じた「中心的な略奪者だった」として司法省に対し、自身の告発に関する適切な初期捜査を行うよう求めている。(澤田公伸)