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6月7日のまにら新聞から

「信用できない」91% 中国に対する比世論調査

[ 1301字|2024.6.7|社会 (society) ]

中国に関するOCTAリサーチの世論調査で「信用できない」が91%、「最大の脅威」が76%

 フィリピン大の研究グループ「OCTAリサーチ」のランジット・ライ代表は6日、南シナ海問題と中国に関する3月の世論調査結果を発表した。それによると、中国について「それほど信用していない」「全く信用していない」と回答した割合は91%に上った。また、76%が中国を「比に最大の脅威をもたらしている国」とした。

 中国への不信率は前政権期の2022年2月は61%だったが、南シナ海での中国海警局による妨害事件が本格化した2023年3月には82%に上昇。それから一貫して上昇傾向となった。

 安全保障問題で話題に上る国々の信頼率を比較すると、中国が8%で最低。32%の北朝鮮、47%のロシアに比べても信頼率の低さが際立った。一方、左派からしばしば「比を自国の覇権のための戦争装置として組み込もうとしている」と批判される米国は、87%の高信頼率だった。

 「比に最大の脅威をもたらしている国はどこか」との質問には、76%が中国と回答。次いでロシアが9%。日本は2%の回答者から「最大脅威国」に選ばれ、北朝鮮、パキスタンと同率だった。同盟国の米国と訪問軍地位協定(VFA)を結んでいる豪州は0%だった。

 中国を最大の脅威と回答した割合は2022年2月は60%だったが、中国との対立を深める現政権になって急増した。

 ▽軍事対応を支持

 「南シナ海対応策で最も優先すべき対応策は何か」との質問(三つまで回答可)には、「海軍哨戒などを通じた権益主張」(73%)、「外交や平和的手段を通じた権益主張」(72%)、「国土防衛のための国軍近代化」(68%)がトップ3項目となった。それに、「同盟・同志国との合同哨戒・演習」(43%)、「地域外国との外国協力強化」(32%)が続いた。ドゥテルテ政権が採用していた「経済関係のための問題棚上げ」は最も低く、12%だった。

 時系列でみると、昨年10月までは「外交や平和的手段を通じた権益主張」が最多回答項目(70%)で、「海軍哨戒などを通じた権益主張」(65%)より上だったが、同12月から逆転。国民は以前より軍事的対応を求め始めていることが明らかになった。

 マルコス政権の南シナ海問題対応策については、昨年12月時点のデータで、「強く指示」「ある程度支持」が61%を占めた。31%が「分からない」で、「あまり支持しない」「強く反対する」は合わせて8%にとどまった。

 時系列でみると、まだ中国との対立が表面化していなかった2022年10月の南シナ海対応策への支持率は66%。それが、海洋問題が本格化し始めた昨年3月、同年7月に、それぞれ54%、43%と下落。しかし同年10月になると反転して58%に上昇。12月には61%に回復した。

 中国海警局がスカボロー礁(比名パナタグ礁)に設置した障害物を撤去したのは同年9月。同時に政府が「実効支配の押し返し」を表立って表明するなど、強い姿勢を示し始めたことが政策支持率の上昇につながったとみられる。

 調査は3月11日から14日にかけ、全国18歳以上の比人1200人に対面形式で実施された。(竹下友章)

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