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5月30日のまにら新聞から

邦人男児が乗るミニバンに銃撃 運転手死亡、殺人で容疑者逮捕 追い越し巡る交通トラブルか

[ 1250字|2024.5.30|社会 (society) ]

マカティ市で28日、邦人児童を乗せたミニバンが銃撃を受け運転手が死亡。児童は無事。容疑者は29日逮捕

国家警察マカティ署に連行されるジェラルド・ユー容疑者(右)=29日、マカティ警察署で深田莉映撮影

 首都圏警察によると、首都圏マカティ市のアヤラ~エドサトンネル付近で28日午後2時半ごろ、邦人男性の子ども(7歳)を乗せたミニバンが、黒の乗用車から追い越しざまに銃撃を受けた。銃弾はミニバンを運転していた運転手のアニセト・マテオさん(65)の肩から首にかけて貫通し、マテオさんは死亡した。ミニバンは首都圏タギッグ市BGCから自宅に帰る途中だった。犯人は銃撃後逃走したが、29日午前7時ごろ、警察はジェラルド・ユー容疑者を殺人容疑で逮捕した。

 撃たれたマテオさんはオートバイ2台にぶつかりながらもミニバンを停車させたがその場で死亡。ミニバンに同乗していたメイドの女性(47)がオートバイの男性2人に助けを求めた。通報を受け駆けつけた警察は、現場で40口径の薬きょうを押収。目撃証言や監視カメラ情報から車両情報を特定し、29日に容疑者を逮捕した。

 国家警察によると、犯行に使用された車の所有者は日本人男性とみられる名前で登録されていたが、登録住所のラスピナニャス市の住居に、同男性を確認できなかった。警察は男性の行方についても引き続き捜査している。

 ▽男児は無事

 アバロス内務自治省は29日に国家警察本部で開かれた会見で、パシッグ市リバーサイドビレッジの容疑者宅で、ユー容疑者を逮捕したことを発表。硝煙検査などの結果、容疑者から押収した拳銃が犯行に使用されたものと同じだったとした上で、「私も法律家だが、この事件の容疑者を弁護することは困難だ。この不条理な暴力への怒りを胸に、被害者とその遺族に正義をもたらすため、あらゆる努力を惜しまない」と宣言した。

 首都圏警察のナルタテス警視総監は、容疑者の動機について「容疑者と被害者の車の間に『ギトギッタン』(追い抜き巡るいさかい)があったとの証言がある」と報告。また、容疑者に犯罪歴はないとした。

 マカティ警察署長のエドワード・クティヨグは男児の様子について「けがはしていないが、精神的にショックを受けている」と説明。同所長はまた、「容疑者が所有していた拳銃は登録されてはいたが、持ち歩くための許可を持っていなかったため、違法所持となる」とした。

 同日、マカティ警察署に姿を表し、警察から説明を受けた被害者のマテオさんの義理の娘は記者団に対し、「父が誰かと争っていたとは聞いたことがない。事件の前も誰かとけんかしたわけではないと聞いた。父の車は正しい車線を走っていた。追い越し前にクラクションを鳴らされたと聞いている」と語った。

 在フィリピン日本国大使館はまにら新聞の問い合わせに対し、「28日午後に発生した比人運転手が運転する車両が銃撃され、運転手が死亡したと承知している。その車両には邦人が同乗していたが、同邦人が負傷したとの情報には接していない」と回答。今回の事件を踏まえた邦人保護への取り組みについては、「大使館として在留邦人の安全確保の観点から、注意喚起を行うなど、引き続き適切に対応する」としている。(竹下友章)

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