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比外務省の女性差別と闘う ルーマニアが勲章授与

2024/4/2 社会

比初の女性外務大臣を務めたデリア・アルベルト氏がルーマニア政府から国民メリット勲章を授与された

 オーストラリア、ルーマニア、ドイツなどのフィリピン大使を歴任し、アロヨ政権期の2003年に女性として初めて外務大臣に任命されるなど、比の重要な外交政策を担ったデリア・ドミンゴ・アルベルト氏に対し、ルーマニア政府がこのほど、国民メリット勲章を授与した。受賞を受けアルベルト氏は、比外務省の中に根付いていた女性差別といかに闘ってきたかを比メディア関係者に吐露した。英字紙マニラタイムズ電子版が3月31日報じた。

 アルベルト氏は比とルーマニアの外交関係構築に大きく寄与したとして、3月19日にルーマニア政府のクラウス・ヨハニス大統領がメリット勲章授与を発表。駐比ルーマニア大使から比国内で勲章を手渡された。

 アルベルト氏は1975~82年に初代駐ルーマニア大使を務めた。比はマルコス元大統領が共産圏だったルーマニアとの国交樹立を72年に決定した。

 ルーマニア大使任命直前の74年には同国のブカレストで開催された国連人口会議に比代表団の一員として参加し、後に夫となるドイツ人ジャーナリストと知り合った。この男性からタイプライターを借りたのがきっかけだったが、その後、交際して結婚した。

 しかし、アルベルト氏によると、当時の比外務省では外国籍の男性と結婚した女性外交官は退職するのが慣例になっていたという。男性外交官が外国籍の女性と結婚してもそのような慣例はなく「明らかな女性差別だ」と感じたと当時を振り返っている。アルベルト氏はその後、当時のレティシア・ラモス・シャハニ上院議員と連携して比国内で国連女性差別撤廃条約の批准に向けた上院決議案の通過に努力し、その後、比でも同条約が批准されている。

 最近では比は女性の社会進出に関する国際ランキングでもアジアでトップ級の高い評価を得ているが、アルベルト氏が東欧諸国との外交関係の構築に向けた努力を積み重ねた70~80年代はまだまだ比国内でも女性に対する差別は根強いものがあった。アルベルト氏らの闘いが実り、比外務省ではその後、30人以上の女性外交官が外国籍の男性と結婚した後も、男性と同様に外交キャリアを積み重ねているという。(澤田公伸)

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