「ウチナンチューのつながりが誇り」 世代超えた沖縄移民集う 沖縄県知事一行歓迎レセプション
首都圏マニラ市のマニラホテルで、沖縄県人会連合の主催による玉城デニー沖縄県知事一行の歓迎レセプション開催
首都圏マニラ市のマニラホテルで4日、沖縄県人会連合(PUOA)主催による玉城デニー沖縄県知事一行7人の歓迎レセプションが催された。知事ら一行のフィリピン訪問は「アジアキャラバン」と名付けられた2カ国訪問の一環で、沖縄からの移民が多い国のうち、今回はフィリピンとシンガポールが訪問先に選ばれた。
レセプション前には、沖縄からの移民1~4世と知事ら一行との間で意見交換会が開かれた。その後、一行は丸テーブルが並べられたレセプション会場へと移動し、沖縄にゆかりのある比在住の招待客約100人に合流。宮城嗣吉・文化観光スポーツ部長や知念秀紀・知事公室秘書課副参事、沖縄県シンガポール事務所の池原平所長も加わった一行は、在比日本国大使館の花田貴裕公使兼総領事ら来賓に迎えられた。
バージー・ソリス会長は歓迎の挨拶の中で「メンソーレ」と一行を歓迎。「沖縄方言を流暢に話せる知事からぜひ方言を教わりたい」と語りかけた。PUOAは「人数こそ少ないが、沖縄をプロモートするための結束は強く、世界平和の実現を推進していく」との意気込みを口にした。花田公使兼総領事も「百聞は一見に如かずと言いますが、フィリピンの実情や、日比関係の最新の現状を知っていただき、この地で両国の架け橋として努力・活躍する県人会の方々に、現状を共有してもらうことも重要」との思いを伝えた。
玉城知事は「沖縄から遠く離れたフィリピンの地に、ウチナンチューのつながりが根付いていることを誇りに思う」と挨拶。42万人とも言われる世界のウチナーネットワークでは、「世代交代と共に母県、沖縄との関わりの減少や日本語教育など時代の変化に伴う、様々な課題が生じている」との問題を指摘。その上で「沖縄県では、人的交流の促進や県人会支援など、ウチナーネットワークの継承・発展に今後も力を入れていく」と強調した。
昼食にはレチョン・バボイ(豚の丸焼き)をはじめ、ホテル側が用意したビュッフェが振る舞われた。また、マニラ在住の日本人バンド「マニラエクスプレス」が「ハイサイおじさん」「てぃんさぐぬ花」など7曲を演奏。首都圏のタギッグ市立大の学生が沖縄のエイサーダンスを踊った。それを受けて、玉城知事も沖縄三大流派の一つ、上地流の空手演武を行い、参加者も巻き込んでの「カチャーシー」を盛大に踊り、レセプションは幕を閉じた。その後、知事ら一行は記念撮影や握手などで参加者と活発に交流した。
▽少数でも結束強く
現在約25人のメンバーで構成されるPUOA。その副会長を務める屋良朝彦さんによると、通常の県人会は2世やそれ以降の世代も自動的にメンバーにカウントされ、千人規模に膨れ上がる。PUOAはそうした方式は取らず、「本当に活動をやりたい人から成り、フィリピン人もいる」と明かす。
屋良さんはレセプションが一段落し、「準備期間がやや短かったが、無事に終わって良かった。カチャーシーまで届くとホッとする」と安堵していた。レセプションには在比ウチナーンチュの1~5世が招待された。知事ら一行は2泊3日の予定で計10人で来比。うち県土・跡地利用対策課の職員3人は一足先に帰国したという。
日系の不動産会社「ほのぼの不動産」で働くロメル・ゲバラさんは、一比人として「レセプションに参加でき誇りに感じる」とし「沖縄の人が好きで、県知事とも会えて嬉しい」と笑みを見せた。一方、まだ沖縄旅行を経験していないゲバラさん。「早く行ってみたい。乗り継ぎは高いので、マニラから直行便ができるよう願っている」と話した。(岡田薫)