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中国民兵船団が「厳戒態勢」 再び比補給任務を妨害か

2024/1/27 社会

中国民兵船が50隻、南シナ海ミスチーフ礁に集結。比政府によるアユギン礁補給任務に備え「厳戒態勢」

 中国中央軍事委員会の指導下にある準軍事組織・海上民兵のものとみられる中国の「瓊三沙漁」船団50隻が、南シナ海南沙諸島パガニバン礁(国際名ミスチーフ礁)に集結していることが明らかになった。先週14隻だった船団が数倍に膨れ上がった。25日に米スタンフォード大ゴルディアンノットセンターのレイモンド・パウエル氏(元米空軍大佐)が発表した。

 同礁は比が実効支配するアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)の西隣(約30キロ)にある低潮高地で、2016年の南シナ海仲裁裁判で比の排他的経済水域(EEZ)内と確認されている。現在は中国が実効支配し、南シナ海最大級ともいわれる人工島が建設されている。その滑走路からは哨戒機など中国軍用機が発進しているとの報告もある。

 パウエル氏は英字紙インクワイアラーに対し「瓊三沙漁は漁船を名乗っているが、専属的な民兵船団。漁業には従事していない」と指摘。比沿岸警備隊(PCG)・比海軍によるアユギン礁への補給任務を妨害しているのも主にこの船団だとし、「船舶数は通常より増加しており、次の補給任務までこの『厳戒態勢』が続くと見られる」と予想した。

 

 ▽異例の空輸作戦

 比政府はアユギン礁に海軍詰め所として座礁させてある第二次世界大戦期の揚陸艦BRPシエラマドレへの補給任務を少なくとも月1回のペースで実施してきたが、昨年発生した中国海警局の放水砲発射による補給船の破損により、今月22日に延期が発表された。

 そんな中、海上補給に代わり、異例の空中投下による補給が実施されたとの情報が国軍関係者から出たが、国軍報道官は「航空物料投下も選択肢の一つだが、詳細は明かせない」として確認を避けている。

 空中投下作戦が実施されていたとしても、輸送できる物資には限りがあるため、今月中に補給任務が試みられるとみられる。海上補給任務は毎回中国による妨害が入り、昨年は比中船舶間の衝突事件や比公船に対する物的損傷が発生するところまで問題が激化していた。(竹下友章)

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