「比海外交流事業のモデルに」 東南アジア青年の船事業役員宣誓式
在比日本国大使館で22日、内閣府青年国際交流事業の一つ「東南アジア青年の船」事業の比役員8人の宣誓式が行われた
首都圏パサイ市の在フィリピン日本国大使館で22日、内閣府青年国際交流事業の一つである「東南アジア青年の船(SSEYAP)」事業の比役員8人の宣誓式が行われた。
東南アジア諸国と日本の共同声明に基づいて開始された東南アジア青年の船事業は現在、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本の青年が1カ月の船旅を通じて、各国事情の紹介や討論、交流活動を行い、相互の友好と理解を促進することなどを目的に、1974年から毎年実施されている。
式典には越川和彦駐比日本国大使、日本国大使館広報文化センターの松田茂浩所長、国家青年委員会(NYC)のロナルド・カルデマ委員長、科学技術省科学教育機関(DOST―SEI)のホセット・ビヨ局長らが参列した。
越川大使は役員を歓迎し、「人のネットワーク、人的交流が二国間関係の根幹をなす。同事業は特に若い世代において、両国関係に大きく貢献する」と事業の意義を強調した。
ラルデマ委員長は日本政府に感謝を述べた上で、「同事業は比の海外交流事業のモデルになる」とした。国家青年委員会は同事業の比人参加者の選考に携わっているという。
比役員8人は全員、過去に同事業の参加者。比における同事業の運営や管理などを行う役員会(SSEYAP International Philippines、SIP)のミッシェル・ラウレル会長は1974年10月に第1回目の事業が始まり、今年50年を迎えたことに触れ、「同事業の参加者は今や、官民セクターのリーダーになった。スキルだけでなく、ネットワークや友情を構築してきた」と述べた。
▽事業通じて秋を初体験
DOST―SEIのビヨ局長は1978年の大学生だったときに同事業へ参加した。当時日本を含む6カ国(比、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア)による事業で期間は現在よりも長い62日間だったという。「異文化理解や相互に尊敬する心」を学び、「毎年同窓会を開くような、今日まで続く強いつながりを構築できた」と話した。
日本が大好きと話すビヨ氏は同事業を通じて初めて秋を経験し、葉の色が変わることを見て、「また日本に戻ってきたい」と強く感じたという。
昨年10月に日本の季節や花、景色を自ら描いた画集「As We Watch the Leaves Fall」を出版している。ビヨ氏は「絵の専門家ではないが、日本の穏やかさや静けさが私の絵に反映され、好いてくれる人がいる」と話した。
ビヨ氏は来月にも訪日し、日本の大学と連携を強化し、エンジニア育成に向けた奨学金プログラムの拡張を目指すとともに、春の桜を見に行くという。(沼田康平)