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11月29日のまにら新聞から

「反対の立場と根拠を説明」 副大統領、ICC再加盟で司法省に

[ 1037字|2023.11.29|社会 (society) ]

大統領の「ICC復帰検討」発言に、サラ副大統領「ICC復帰反対の立場を司法省に説明する」

 ドゥテルテ前政権期の「麻薬戦争」に絡み脱退していた国際刑事裁判所(ICC)へ再加盟について、マルコス大統領が「再加盟を検討中だ」と述べたことについて、サラ副大統領は27日、「外交方針の決定権を持つ大統領の立場を尊重しなければならない」としながら、「再加盟に反対する自分の立場とその法的根拠を(検討の中心となる)司法省に説明」すると述べた。28日の英字紙スターが報じた。

 麻薬戦争下で発生した超法規的殺害問題について、ICCのファトゥ・ベンソーダ主任検事=当時=は2018年に予備調査の開始を発表。これに反発した比政府は同年脱退を通告、翌19年には正式に脱退した。前大統領の娘であるサラ氏とペアを組み、事実上ドゥテルテ氏の後継者として大統領となったマルコス氏は、選挙期間中・就任直後はICCへの再加盟を明確に否定していた。しかし今回の再検討発言で、次期大統領最有力とされるサラ氏を擁するドゥテルテ家の地位が脅かされている。

 サラ氏は23日に出した声明で「2019年3月17日に比がローマ規程から脱退したことにより、ICCは比への管轄権を失っていることは大統領も確認している」と強調した。しかし、「脱退したから裁かれない」という論理はたびたび疑問が呈されてきた。ICC設置条約であるローマ規程127条2項に「脱退後も締約国時の義務を免除されない」と明記されているからだ。

 同条項はさらに「脱退する国に協力義務のある捜査・手続きであって、脱退が効力を生ずる日の前に開始されたものに関しては脱退は裁判所への協力に影響を及ぼさず、また、当該脱退が効力を生ずる日の前に裁判所が既に審議していた問題について審議を継続することを妨げるものでもない」と定める。この条項のに従い、ICCは比の脱退後も捜査手続きを進めてきた。ベンソーダ氏の後任のカリム・カーン主任検察官はドゥテルテ氏含めた政府高官への刑事責任追及を視野に入れる。

 それに対し、前政権で大統領報道官を務めたハリー・ロケ弁護士は異論を唱える。「(比の脱退以前に)前主任検事が行ったことは、自身の資格で実施した予備『調査』であり、予備『捜査』とは異なる」との見解を示した上で、「予備捜査の許可がICCの予備裁判部から下りたのは比の脱退後の2022年になってからだ」と述べ、脱退によってドゥテルテ氏が訴追の対象から外れただけでなく、今から再加盟した場合も法の不遡及によって訴追できないとの説を展開している。(竹下友章)

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