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11月22日のまにら新聞から

「野菜の美味しさ伝えたい」 販売先開拓や技術伝承掲げる JICA協力隊の三村さん

[ 1060字|2023.11.22|社会 (society) ]

バタンガス州のデモファームで汗を流すJICA協力隊の三村真理さんに話を聞いた

クエンカ町農務局のデモファームで技術を伝えるJICA海外協力隊の三村さん(左)=14日、バタンガス州で沼田康平撮影

 ルソン地方南部に位置するバタンガス州クエンカ町農務局のデモファームで汗を流しているのは国際協力機構(JICA)の海外協力隊として派遣されている三村真理さんだ。

 今年6月に着任した三村さんは地域住民への農業技術移転の場となる5ヘクタールにおよぶデモファームに従事。町民や他地域の農業従事者はデモファームで栽培を試すことができ、技術や知識を学ぶことができる。生育する野菜はナスやトマト、ニガウリ、カボチャ、シータオ(十六ささげ)、パパイヤなど多岐にわたる。

 三村さんによると、現在はデモファームの従業員の業務や現状を把握している段階という。「苗への水やりや見回り、作業のお手伝いをしている。質問されればアドバイスもする」と説明。野菜の生育状況の見方や虫の駆除、苗の植え方などについても助言しているようだ。

 三村さんのカウンターパートに当たり、デモファームを運営するクエンカ町農務局のジュリエタ・リンボさんは、同事業の目的として「有機農業におけるデモファームの再活性化」を挙げた。リンボさんによると、以前は乳牛を飼い、乳製品を生産していたが、町の方針変更に伴い、野菜栽培をデモファームで行うこととなった。三村さんの協力を得て、「彼女が農家で培った技術とわれわれの依頼リストのなかで何が活かせるか、模索しながら、このデモファームを再活性化させたい」と明かした。依頼リストには堆肥化システムやハーブの一種ステビアの生育、土壌改良効果が期待できる木酢の活用などが含まれるという。

 三村さんは活動計画策定に向けて新規販売先の開拓や現場作業員の育成を挙げた。「ローカルマーケットだけでなく、有機野菜専門店や首都圏のサンデーマーケットなど販売先を開拓したい」と説明。また「現場作業員も技術向上への意欲があり、生育技術を教えながらセミナーなどに一緒に参加し、いろいろな経験をしてもらえたら」と話した

▽「野菜の美味しさ」伝えたい

 三村さんの6月着任からおよそ5カ月が経過しようとしている。比の印象について、「危険な国というイメージがあったが、赴任地は穏やかで安全」と安心した様子。一方、水道水が飲めなかったり、停電や言語の壁、国民性など生活面で不慣れな環境に戸惑う場面もあるという。「それでも皆さんが親切にしてくれてなんとか」と笑顔をみせた。

 今後、野菜の美味しさを伝えたいと意気込む。「健康面での野菜の重要性は認識されている。野菜の生育や料理法を通じて野菜の美味しさを伝えていきたい」と語った。(沼田康平)

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