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10月18日のまにら新聞から

「軍艦へ初の妨害」 中国艦危険操艦で比国軍

[ 943字|2023.10.18|社会 (society) ]

比軍が13日にパグアサ沖で発生した事件を、中国海軍艦の比海軍艦に対する初の進路妨害事件と認定

 比国軍のアギラール報道官は17日、南シナ海南沙諸島(比名カラヤアン諸島)で比が支配するパグアサ島周辺で13日に比海軍艦が中国海軍艦の危険操艦に遭った事件について、「中国船が比海軍艦の船首に近づき進路を妨害した最初の事例だった」ことを明らかにした。

 同日、中国人民解放軍海軍ミサイルフリゲート艦621は比海軍の戦車揚陸艦BRPベンゲットに対し、比艦の船首から320メートルの近距離で進路を横切ろうとする操艦を行うなど妨害行動を実行。これまで中国海警局や民兵船が行ってきたグレーゾーンでの力の行使が、軍対軍レベルに高まった格好だ。

 同報道官は「比海軍は中国艦に海上衝突防止国際規則に関する条約違反だと警告し、また中国艦は比側が事件を記録していることに気づいたために、(比艦の船首の先を横切る直前で)進路を変更したのだろう」と報告した。

 これまで中国海警局船は南シナ海で、比沿岸警備隊の巡視船に対し、船首に近い位置で進路を横切る妨害行動を取ってきた。これは仮に衝突した際も、比船の船首が中国船の側面に衝突した格好となることから、比米相互防衛条約が発動条件となる「比公船に対する武力の行使」に当たりにくくなるためとも考えられている。

 ▽「比が不法に占拠」

 中国外務省の毛寧報道官は16日の会見で、中国海軍の「危険かつ不法な作戦行動」を非難する比側の主張に対し「中業島(パグアサ島の中国名)は中国の領土。比は同島を不法に占拠しており、中国の主権を深刻に侵害している。同島周辺における中国の軍艦の航行および哨戒は合法かつ適切だ」と述べた。

 パグアサ島は、南沙諸島では台湾が支配する太平島に続き2番目に大きい高潮高地。パラワン州カラヤアン町に属し、約200人の比政策移民が暮らす。戦後は中華民国(台湾)が支配下においていたが、1971年4月に同島を大型台風が襲った際に駐屯兵が一時撤収。旧マルコス政権はその隙をついて占拠、実効支配を確立した。

 同島はパラワン本島からは約285カイリ離れており、比の排他的経済水域(EEZ)の外。2016年の南シナ海仲裁裁判の判断では南沙諸島のいかなる海洋地勢もEEZ発生の起点となる「島」には当たらないと判断されている。(竹下友章)

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