3国が「空母」投入か 南シナ海日米豪共同訓練
南シナ海の日米豪共同訓練では3カ国が準空母を投入し、航空機離着艦訓練を行う見込み
比各英字紙は21日、今週にも南シナ海で実施予定とされる日米豪海軍種共同訓練で、海上自衛隊が日本保有艦で最大の護衛艦「いずも」(248メートル)を投入すると報じた。同艦はヘリ空母とも呼ばれ、垂直離着艦可能な最新鋭戦闘機F35Bを登載する軽空母への改修が段階的に進んでいる。また、米国は「ライトニング空母」として運用可能な最新鋭強襲揚陸艦USSアメリカ(257メートル)、豪州は豪海軍保有艦中最大級のヘリ空母HMASキャンベラ(230メートル)を投入するという。もし実施されれば、南シナ海で実効支配する海洋地勢を増やし、軍事化を進める中国に対し大きなけん制となりそうだ。
各報道によると、共同訓練は数カ月前から計画されていた。航空機の離着艦を含めた訓練が実施される見込みだが、比軍は今回不参加。日米豪の艦長は比を訪問、会合し「自由で開かれたインド太平洋」への取り組みに関し強いメッセージを出す見込みだという。
ただし、比国軍のブラウナー参謀総長は21日、「私は3カ国共同訓練の実施の有無を聞いていない。他の共同訓練と誤解されている可能性もある」と述べており、実施はまだ確定していない。
海自は4月20日から9月17日まで、米・豪・比を含めた各国海軍との共同訓練などを目的として、「いずも」など護衛艦4隻をインド太平洋地域に派遣すると発表している。
日米豪の防衛相は6月にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)のサイドラインとして、初の3カ国防衛相会合を開催。その後ガルベス比国防相代行=当時=を含めた初の4カ国防衛相会合を開いていた。
中国は、1995年に南シナ海南沙諸島のミスチーフ礁を占拠。2012年には比海軍とのにらみ合い事件の末に中沙諸島スカボロー礁を実効支配して軍事施設とみられる構築物を建設した。
今月5日には南沙諸島で比が実効支配してきたアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)で海警局船が補給任務についている比沿岸警備隊の進路をふさぎ、放水銃を発射して妨害している。3礁とも2016年の南シナ海国際仲裁裁判所の判断で比の管轄権内にあることが確認されている。(竹下友章)